2025年10月1日からスタートする「リ・スキリング等教育訓練支援融資」は、リスキリングを目指す社会人に向けた新たな補助金制度です。
リ・スキリング等教育訓練支援融資は返済が必要ですが、要件のハードルが低く、融資額も多めです。返還免除の可能性もあり、雇用保険(失業手当)受給後も利用できるため、対象となる人はぜひ活用しましょう。この記事では制度の対象者や申請条件をわかりやすく紹介します。
リ・スキリング等教育訓練支援融資とは、スキルを身に付けたい人に融資する制度

リ・スキリングなどを目的とした「リ・スキリング等教育訓練支援融資」は、厚生労働省が2025年10月1日から開始する、個人のスキル向上を支援するための補助制度です。
「学び直し融資」など色々な名前で呼ばれていますが、正式名称はリ・スキリング等教育訓練支援融資です。
リ・スキリング等教育訓練支援融資の目的と特徴
リ・スキリング等教育訓練支援融資は、労働市場の変化に対応できる人材の育成を目的としています。特に、キャリアの見直しや新たな分野への挑戦を希望する人が、経済的な負担を抑えながら学べる環境を整えることを重視しています。
この制度では、職業訓練や資格取得などにかかる教育訓練費用に加え、受講期間中の生活費も融資の対象となるのが特徴です。就業中・求職中を問わず、多様な立場の人が利用できる柔軟な仕組みとなっており、従来の制度では支援が届きにくかった層にも活用が期待されています。
リ・スキリング等教育訓練支援融資と、他の教育訓練制度との違い
リ・スキリング等教育訓練支援融資と混同されやすいのが「教育訓練給付制度」と「職業訓練受講給付金」です。両者との大きな違いは、「給付型」か「貸付型」かという点です。
教育訓練給付制度は、厚生労働省による助成制度で、指定講座を受講し条件を満たせば、費用の一部が支給されます。職業訓練受講給付金は、求職者に対して月額手当や交通費などを支給する制度で、どちらも返済不要の「給付型」です。一方、リ・スキリング等教育訓練支援融資は、教育費だけでなく生活費も対象とした「貸付型」です。
職業訓練受講給付金とリ・スキリング等教育訓練支援融資は、いずれも雇用保険の対象外の人を支援する制度です。ただし、職業訓練受講給付金は収入や資産に厳しい条件があり、対象者が限定されます。内容も、リスキリングというより基礎的な職業能力の習得に重点を置いているため、リ・スキリング等教育訓練支援融資制度に比べて利用者は限定されます。
3つの制度の違いは、以下のとおりです。
項目 | 教育訓練給付制度 | 職業訓練受講給付金 | リ・スキリング等教育訓練支援融資 |
---|---|---|---|
制度名 | 教育訓練給付制度 | 職業訓練受講給付金 | リ・スキリング等教育訓練支援融資 |
給付 or 融資 | 給付 | 給付 | 融資 |
対象者 | 雇用保険の被保険者または離職者(要加入期間) | 収入・資産が一定以下の求職者(雇用保険未加入者など) | 雇用保険の非加入者など、就労・転職意欲のある人 |
支給内容 | 受講費用の一部(20〜70%)を支給 | 月10万円+交通費など | 最大480万円の有利子融資 |
返済義務 | なし | なし | 原則あり(条件を満たせば一部返済免除) |
主な特徴 | 講座修了後に支給、ハローワークで手続き | 生活支援を目的とした給付 | ハローワーク経由、返済免除のチャンスあり |
リ・スキリング等教育訓練支援融資の対象者

リ・スキリング等「教育訓練支援融資」の対象者は「雇用保険の対象者以外の人」です。具体的には、以下のすべての条件を満たす人(=特定求職者)が対象となります。
- ハローワークに求職の申し込みをしていること
- 雇用保険被保険者や雇用保険受給資格者でないこと
- 労働の意思と能力があること
- 訓練受講が必要とハローワークが認めたこと
また注意すべき点として、過去に3年以上の就業経験が必要であること、申込時の年齢が18歳以上66歳未満であることといった条件も設けられています。
参照:厚生労働省 教育訓練受講のための新たな融資制度について
【例】リ・スキリング等教育訓練支援融資制度を利用できる人
- フリーランス
- 長期間離職している人
- アルバイトや主婦、パート、フリーターなど、雇用保険の適用外となっている人
- 雇用保険(失業手当)の給付がすでに終了した人
この制度は、就職が困難な状況にあるものの、再就職に向けて前向きに学び直しを希望する人を支援するものです。たとえば、子育てや介護で離職していた主婦や主夫、非正規雇用が続いていた方、事業の廃業により自営業から転身を目指す方、雇用保険に加入していないフリーランスなどが対象となります。
また、失業保険の給付が終了した方も利用可能です。支援を受けながら職業訓練に集中できるため、経済的な不安を軽減できます。この制度はあくまで「融資」であり、返済義務がある点には注意が必要ですが、就職後の年収に応じて一部変換を免除される場合があるので、ぜひ活用してください。
リ・スキリング等教育訓練支援融資の対象となる「特定求職者」とは
特定求職者とは、年齢や就業経験、就職状況などから見て、就職が著しく困難であり、職業訓練などの支援を必要とする方を指します。具体的には、雇用保険に加入していない方や、自営業を廃業した方、就職が決まらないまま学校を卒業した方などが該当します。
ハローワークが「特定求職者」という分類を設けたのは、一般的な就職支援だけでは再就職が難しい人々に対して、より集中的で効果的な支援を行うためです。雇用保険の制度だけでは十分にカバーできない層にも職業訓練や融資制度などの支援を届けることで、就労機会の格差を埋め、雇用の安定と自立を促進することが目的です。
リ・スキリング等教育訓練支援融資が雇用保険(失業手当)受給後に利用できる理由
リ・スキリング等教育訓練支援融資は、「雇用保険(失業手当)の受給が終了した後」でも利用できる数少ない制度のひとつです。理由は、この制度の対象者が「雇用保険の被保険者または受給資格者ではない人」と定められているためです。手当を受給していた人でも、その給付が終了し、ハローワークに再度求職申し込みをしていれば、「雇用保険の受給資格者ではない」とみなされ、制度の利用対象になり得ます。
一方、一般的な教育訓練制度である「教育訓練給付制度」や「職業訓練受講給付金」は、雇用保険に加入していることや、一定以下の収入・資産要件があるなど、対象者が限定されています。そのため、雇用保険(失業手当)を受け終えた後は、利用できる支援制度がほとんどありません。
リ・スキリング等教育訓練支援融資は、そうした「制度の谷間」に落ちやすい人々を支えてくれます。過去3年以上の就業経験があり、学び直して再就職・転職を目指したいという意欲がある人であれば、失業手当の受給が終わっていても、制度の対象となります。
雇用保険(失業手当)を受給するために必要な「求職活動実績」について
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ー引用:リクルートエージェント オンラインセミナー
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リ・スキリング等教育訓練支援融資の申請から融資までの流れ
リ・スキリング等教育訓練支援融資制度を利用するには、まずハローワークで求職の申込みを行い、その後、所定の融資申込書類を提出します。このとき、ハローワークでは申請者に「過去3年以上の就業経験があるかどうか」や「訓練前の収入額」を確認します。
書類提出後は、労働金庫による審査が行われ、問題がなければ初回の融資が実行されます。
訓練が開始された後は、3カ月ごとに訓練の継続状況や生活の様子などについてハローワークで確認が行われ、結果に基づき融資が継続して実行されます。
訓練修了後、約1年後から返済が始まりますが、一定の条件を満たした場合は、返済が一部または全額免除されることもあります。
まとめ
リ・スキリング等教育訓練支援融資は、2025年10月に始まる新たな支援制度です。スキルを学び直し、新たな雇用ニーズに対応できる人材を育成することを目的とした融資型の仕組みです。
最大480万円の有利子融資が可能で、教育費だけでなく生活費も対象となります。返済義務はありますが、就職後に年収が上がった場合は一部返済免除も受けられる、非常に実用的な制度です。
大きな特徴は、「雇用保険に加入していない人」や「失業手当をすでに受け終えた人」も対象になる点。つまり、支援の空白に陥りがちな主婦やフリーランスなどにも門戸が開かれています。
申請にはハローワークでの手続きが必要ですが、就職やキャリアの転換を考えている人にとっては、大きなチャンスと言えます。経済的な不安を抱えながらも、スキルを身につけて新たな一歩を踏み出したいという人は、ぜひリ・スキリング等教育訓練支援融資を前向きに検討してください。
職業:大学のキャリアセンターで新卒〜既卒・第二新卒の就職支援を担当(現職)
資格:キャリアコンサルタント(国家資格)の他、CDA(キャリアデペロップメントアドバイザー)、進路アドバイザー、メンタルヘルスマネジメントⅡ・Ⅲ種など、キャリアと心理に係る多くの資格を取得。
経歴:大学を卒業後、5年間で5回の転職(派遣・アルバイト・正社員含む)を繰り返した経験から、職業選択の重要性を痛感。現在は大学のキャリアセンターで働き、多くの求職者支援に携わる。