職業:大学のキャリアセンターで新卒〜既卒・第二新卒の就職支援を担当(現役)
資格:キャリアコンサルタント(国家資格)の他、CDA(キャリアデペロップメントアドバイザー)、進路アドバイザー、メンタルヘルスマネジメントⅡ・Ⅲ種など、キャリアと心理に係る多くの資格を取得。
備考:大学卒業後、新卒で銀行に就職したものの1年で退職し、その後5年間で5回の転職(派遣・アルバイト・正社員含む)を経験。この経験から職業選択の重要性を痛感し、キャリアと心理に関する複数の資格を取得。大学のキャリアセンターに転職しこれまでに多くの求職者サポートに携わる。
既に次の職場が決まっていたり、前職で雇用保険に入っていないなど基準を満たしていない場合は給付の対象外となりますが
1年以上雇用保険に加入していた多くの方は、失業すると失業手当を受ける事ができます。
ただし失業手当を受けるにあたり、次回の給付期間に影響が出る可能性が高いので注意して下さい。
失業保険を申請せず再就職した場合の注意点
失業し、次の仕事に就く前に失業保険を申請しなかった場合、失業手当の給付は受けられません。
自己都合退職の場合、ハローワークに申請を出してから実際に振り込みが行われるまでに3ヶ月近くかかります。
ちなみに、転職にかかる平均期間も3ヶ月程度と言われています。
ですので、転職活動していて3ヶ月以内に内定が出ると、そもそも失業手当の給付対象外になる事が多いのです。
再就職手当とは
再就職手当とは、離職者の早期の再就職を促す為に設けられた制度なので、再就職が早ければ早いほど、貰える手当も多くなります。
再就職手当の受給金額は、所定の給付日数から差し引かれた支給残日数によって異なります。
支給残日数が所定給付日数の2/3以上であれば70%
1/3以上あれば支給率60%になります。
所定の給付日数 | 支給の残日数 | |
支給率60% | 支給率70% | |
90日 | 30日以上 | 60日以上 |
120日 | 40日以上 | 80日以上 |
150日 | 50日以上 | 100日以上 |
180日 | 60日以上 | 120日以上 |
210日 | 70日以上 | 140日以上 |
240日 | 80日以上 | 160日以上 |
270日 | 90日以上 | 180日以上 |
300日 | 100日以上 | 200日以上 |
330日 | 110日以上 | 220日以上 |
360日 | 120日以上 | 240日以上 |
再就職手当の注意点
再就職手当の具体的な要件については以下の通りです。
- 受給手続きの後、7日間の待機期間※満了後に就職したり事業を開始した場合(待機期間中に仕事をすると待機期間に含まれない)
- 給付制限期間がある(自己都合退職など)場合、待機期間(7日間)満了後1ヶ月の期間は対象外(ただしハローワーク又は職業紹介事業者の紹介で就職したものは、待機期間満了後であればOK)
- 支給残日数が所定給付日数の1/3以上ある
- 離職した前の事業主の元で再び雇用される場合は適応されない(又はその事業主と密接な関わりがある事業主はNG)
- 就職先が1年を超えて勤務する事が確実である
- 次の就職先が雇用保険の被保険者になること
- 過去3年以内の就職について、再就職手当(又は常用就職支度手当)の支給を受けていない
- 求職の申し込み(受給資格決定)前から採用が決まっていた事業主に雇用されたものでないこと。
ー参照:ハローワーク
失業保険や再就職手当を受給すると、加入期間はゼロに戻る
ただし、失業手当や再就職手当・就業手当などを受け取った場合、雇用保険の加入期間はリセットされます。
ー引用:ハローワーク 基本手当の所定給付日数
逆に、前回の失業時に失業保険の給付を受けずに再就職をして、次に就職した先で雇用保険に入り、再度失業した場合、雇用保険の加入期間は合算されます。
この場合、加入期間が途切れずに積み重なるため、次回に失業保険を受ける際はより長い期間受けられる可能性があります。
失業保険の申請をしないケース
条件を満たしていない場合や、意図的に申請を見送る場合など、様々な理由で受給しない事を選択するケースがあります。
わざと失業保険を申請しないケース
繰り返しになりますが、失業保険の給付を受けると、その時点での加入期間がリセットされます。
ですので次に失業した場合、再び失業手当を受け取るには一定期間被保険者である必要があり、かつ給付制限期間が長くなる可能性があります。
再就職手当などを受け取った場合も同様の扱いとなり、再就職後の加入期間が給付のためのカウント期間としてスタートすることになります。
その為(あまり無いとは思いますが)意図的に申請しない人がいる可能性があります。
失業保険の対象外になってしまった
失業保険の対象になる人は「前職の就職先で雇用保険に入っていた人」で、雇用保険加入期間は満12ヶ月必要となります(自己都合退職の場合)
これに満たない場合、そもそも失業保険の対象とはなりません。
また、失業保険の受給期間は退職後1年間です。
※ハローワークに申請してから1年間ではないので、注意しましょう。
失業手当は再就職をする人を支援する為の給付です。
ですので「仕事をやめて専業主婦になる」といった考えの場合は対象外となります。
申請の際は気をつけて下さいね。
そもそも失業保険の制度を知らない
失業保険は労働者の権利ですが、実はこの失業保険の制度について詳細を理解しておらず、自分は対象外だと思い込んで申請しない人も少なくありません。
制度の知識がなければ、適切なタイミングでの申請が困難になります。失業が発生した際にどのような支援が受けられるのか、職に就いている間から理解しておくことが、将来のリスクを避ける上で重要です。
ちなみに、開業届を出している場合は収入が無くても対象外となります。
(最近は副業ブームなので開業届を出している人も中にはいると思います。注意してくださいね!)
失業手当の申請とか分からず個人事業主になってしまい、問い合わせてみたらもう対象外とのこと。
「今まで納めた保険料は納め損ですか?」
「はい」
痛烈な解答だった。申請しない自分がバカなだけの話。
— らっちゃん (@racchanneru) July 20, 2023
まとめ
失業保険を申請せず再就職した場合はどうなるのかと、その注意点について解説してきました。
失業保険は、退職後に自ら申請を行わなければ給付を受ける事ができません。
失業保険や再就職手当などの給付を受けると被保険者期間は一旦リセットされますが、申請しなかった場合、その被保険者期間は次の就職先で被保険者になった期間に合算されます。
失業保険の申請は退職後にしか行えず(離職票が必要なため)、また退職した時点で次の就職先が決まっていれば失業保険の給付対象外となります。
その為、上記に該当しない失業中の方は基本的に全員がハローワークで失業保険の手続きを申請しておく事をおすすめします。
また、失業保険を受ける為には、4週間に1回の認定日で求職活動実績(就職活動を行ったという証拠)を報告しなければならず、これが面倒だと感じている人もいるようですが
求職活動実績は、転職エージェントのオンラインセミナーを受講する事で簡単にクリアできます。
(以下はリクルートエージェントのオンラインセミナーの一例です)
ー画像引用:リクルートエージェント オンラインセミナー