職業:大学のキャリアセンターで新卒〜既卒・第二新卒の就職支援を担当(現役)
資格:キャリアコンサルタント(国家資格)の他、CDA(キャリアデペロップメントアドバイザー)、進路アドバイザー、メンタルヘルスマネジメントⅡ・Ⅲ種など、キャリアと心理に係る多くの資格を取得。
備考:大学卒業後、新卒で銀行に就職したものの1年で退職し、その後5年間で5回の転職を経験。この経験から職業選択の重要性を痛感し、キャリアと心理に関する複数の資格を取得。大学のキャリアセンターに転職しこれまでに多くの求職者サポートに携わる。
※この記事は、キャリアコンサルタント(国家資格)を持ち、現役で就職支援に従事している専門家が解説しています。
既卒とは、学校を卒業後約3年以内の正社員経験の無い求職者を指します。
この記事を読むと、就職活動を続けながら就職活動をするべきか、それとも就職活動に専念すべきかを判断できるようになります。
アルバイトをしながら正社員を探すのは難しい?
アルバイトをしながら就職活動をする場合、一番ネックになるのは日程調整です。
企業側は新卒採用と違い、面接や勤務開始日をそこまで待ってはくれません。
逆に言うと、柔軟にスケジュール対応できるアルバイトであれば、両立して就職活動する事は難しくありません。
- 在宅ワーク(データ入力、Webライター、アンケートモニターなど)
- 短期アルバイト(工場系、引越しスタッフ、ポスティング、キャンペーンスタッフなど)
内定が無いまま卒業してアルバイトになった場合
アルバイトと正社員は、給与だけでなく将来の保証や待遇が違う分、責任の大きさも違います。
アルバイト先に「正社員になるために就職活動をするので辞めます」と話すと、通常は快く送り出してくれるはずです。
もしそこで無理に引き止められたりする場合、言い方は悪いですが「会社の良いように利用されている」可能性が高いです。
新卒採用で内定を貰えなかったから、既卒でも貰えないという誤解
これは私自身が大学で勤務していてよく感じるのですが…
学校という機関は、基本的に昔ながらの慣習や制度に捉われがちで、新しいものを取り入れたがらない傾向があります。
就職・転職活動でエージェントを利用する事は一般的ですが、これを歓迎しない学校は多いです。
この理由としては下記の点が挙げられます。
- 新卒は社会人経験が少ない為、エージェントに言いくるめられてしまう
- 就職率を出す時にややこしくなる(学校側の事情)
人材紹介会社は、企業に紹介した人材が採用されるとその人材の年収約30%を受け取ると言われています。
大きなお金が動くため、悪い就職(転職)エージェントは「新卒学生を人気のない企業へ送り込もう」としてくる可能性はあります。
この考え方は確かに一理あるのですが、個人的には新卒時に転職エージェントを利用する事がそこまで悪い事だとは思えません。
なぜなら、転職エージェントと企業との繋がりは「一度紹介したら終わり」ではないからです。
良い人材を紹介すれば、紹介された企業はまた同じ就職(転職)エージェントを利用し、お得意様になっていきます。
繋がりが大切な人材紹介業において、そこまでミスマッチな人材を意図的に紹介する事は無いと思うからです。
学校は、卒業生の進路について国に報告しなければなりません。
その為、本来であれば
学校ー学生ー就職先
であった関係が
学校ー就職(転職)エージェントー学生ー就職先
となると、様々な確認がややこしくなります。
前置きが長くなりましたが、つまり、学校側から紹介されるやり方では合わない人もいます。
既卒就活では「既卒に特化した転職エージェント」を使う事で成功率を高める事ができます。
アルバイトの経験は評価しない企業が多い
アルバイトの経験は、正社員経験と比べて「職務経歴としては」企業から評価されない事も多いです。
例え社員と同じくらい大変な仕事を任されていたとしても、企業側からすればその実態がわからないので「単なるアルバイト」として捉えられます。
ですので、アルバイト先で正社員を目指す場合や、目指している業界に係る能力がそのアルバイト先で得られるという訳でないなら、優先順位は就職活動を一番上にしましょう。
ただし、既卒が企業から特に求められているのは、経験ではなく将来性や熱意です。
アルバイト経験は職務経歴として捉えられないかもしれませんが、その経験を通して将来性や熱意を感じさせる事ができれば、高く評価される可能性は十分あります。
何度もアルバイトを変えると「職歴が増える」という誤解
先ほど記載した通り、アルバイトを職歴と捉える企業は少ないです。
正社員→アルバイト→正社員
という転職をした時は、転職回数は1回になります。
(矢印をカウントしますが、アルバイトはカウントしないので1回)
就職活動はアルバイトと両立?就活に専念すべき?
就職活動はアルバイトと両立すべきかどうかは、その人の置かれた状況により大きく変わります。
ですがアルバイトは職歴としては評価される事が少ない事から、あくまで「収入を得る為の手段」と割り切り、就職活動を第一優先にすべきです。
そして、収入を得る為の手段と考えた場合、もしアルバイト先で雇用保険に入って一定条件をクリアしていれば失業給付を受け取れます。
失業保険の受給には(自己都合退職の場合)給付制限期間として申請から2ヶ月ほど受け取れない期間がありますが、その後は一定期間前職の給与の5〜8割を受け取る事ができます(雇用保険加入期間が1年以上ある場合)
- 週20時間以上の所定労働時間(週の労働時間が不定期で20時間を超えたり超えなかったりする場合「月の総労働時間が87時間以上が加入の目安」)
- 雇用期間に定めのない人や、31日以上の雇用期間が見込める者
コンビニやレストランなど、長期間の雇用を前提としたアルバイトをしていると就職活動は長引く傾向がありますし
雇い主側から見ると「融通が効くフリーター」として重宝がられ、悪くいうと利用されやすくなるので、シフト等で無理なお願いをされる可能性もあります。
就職活動をするにあたりアルバイトが障害となっている場合は、一度辞めて失業手当の受給を検討したり、他のシフト調整しやすいアルバイトに変えた方が良いでしょう。
転職期間は平均3ヶ月程度
また、転職期間の平均は3ヶ月から長くて半年程度だと言われています。
アルバイトを辞めて一時的に収入が減ったとしても、長い目で見た時に早く正社員として働いた方が収入は多くなります。
既卒の多くは20代です。
少子高齢化・人材不足の日本において「就職先が決まらない」という事は、基本的にあまりありません。
- 就職の条件が厳しすぎる
- ツールの選び方が間違っている
もちろん既卒であっても一般向けの就職サイト・転職エージェントに登録する事はできます。
というのも職業紹介事業者には「求職申し込み全件受理」という義務があるからです。
公共職業安定所、特定地方公共団体及び職業紹介事業者は、求職の申込みは全て受理しなければならない
参照:厚生労働省 職業紹介事業現行の制度・運用
多くの場合、そのサービスのメインターゲットとなる層があります。
そして、その層から外れたサービスを使った場合、既卒は不利になる事が多いのです。
既卒におすすめの就職サイト・転職エージェントについてはこちらにまとめています。
転職エージェントは複数登録して一番相性が良いものをメインで使う
就職活動では70%以上の人が2つ以上の就職サイト・転職エージェントに登録している※というデータがあります。
※データ参照:【調査概要】2019年7月16日~7月17日 株式会社ジャストシステム「転職に関するアンケート」 調査対象:転職を経験したことのある男女199名(単一回答)
就職活動は情報戦なので、多くの求人を閲覧する為に就職サイトを、手厚いサポートを受ける為に転職エージェントを複数並行して利用する事が基本です。
また基本的に、転職エージェントを退会する際に引き止められる事はありません。
通常、転職エージェントは求職者1人ひとりに担当の転職エージェント(アドバイザー)がつきます。
アドバイザーは親身になってくれますし、アルバイトのスケジュールを伝えておけば企業との選考日程も調整してくれます。
既卒者にとって、適切な就職サイトや転職エージェントを選ぶ際の最もおすすめの方法は、複数のサイトに登録した上で、自分と相性が良いと感じたものをメインで活用する事です。