名前:Kei 職業:大学のキャリアセンターで新卒〜若年者の就職支援を担当(現役) キャリアコンサルタント(国家資格)の他、CDA(キャリアデペロップメントアドバイザー)、進路アドバイザー、メンタルヘルスマネジメントⅡ・Ⅲ種など、キャリアと心理に係る多くの資格を取得。 資格: 備考:大学卒業後、新卒で金融業界に就職するが1年で退職。その後さまざまな仕事を経験するも、自分に合わず5年間で5回の転職を経験。この経験から仕事の選択の重要性を痛感し、キャリアコンサルタント等の資格を取得して大学のキャリアセンターに転職。これまでに多くの求職者サポートに携わる。 |
第二新卒として転職する場合、必ず聞かれるのが前職の退職理由です。
企業が第二新卒を採用する理由は、将来的に会社を支える人材を採用するためであり、多くの企業が採用後の育成に力を入れています。
そのため、採用されるためには、入社後も継続して長く働けるという印象を与えることが求められます。「この会社もすぐに辞めてしまうのではないか」と思われるような印象を与えないようにする為に、退職理由は志望動機以上に重要です。
そんな採用の合否にかかわる重要な「退職理由」の伝え方について、多くのサイトでは「マイナスな印象を与えないようポジティブに伝える」と書かれています。
ですが…
第二新卒で退職する場合、短期間での離職となるため何らかの問題があって辞めるケースが多いです。その場合「退職理由をポジティブに伝える」と言われても戸惑ってしまいますよね…。
この記事ではケース別に、採用選考において最重要ともいうべき「転職・退職理由」についての伝え方を解説していきたいと思います。
第二新卒で就職活動をする人は多い
第二新卒とは学校卒業後※3年以内の正社員経験のある求職者を指します。
※学校とは、大学だけでなく高校や中学校、専門学校なども該当します。
また、新規学卒者の3年以内離職率は例年、大卒で約3割・高卒で約4割となっています。
つまり、多くの方が第二新卒として就職活動をしているのです。
一般的に短期離職をすると就職活動が難しくなると言われていますが、年功序列や・終身雇用・新卒一括採用など従来の雇用制度が限界を迎えつつある日本では、徐々に人材の流動化が進み第二新卒へのニーズが高まっています。
ただしニーズは高いのですが、やはり短期離職について気にする企業は多いです。短期間で転職を繰り返す場合、入社しても長続きはしないと判断されるからです。
ですが単に短期離職そのものが悪いという事ではなく、その理由が「納得できるものであれば気にしない」と考えている企業が大半です。
伝える時に気をつけるべきポイント
転職・退職理由を質問された際に気をつけるポイントはいくつかあります。
- 嘘はつかない
- ネガティブな言葉はできるだけポジティブな言葉に変換する
- 前職(又は現職)の会社のことを悪く言わない
- 他人のせいにしない
- 前向きな姿勢と熱意を持って話す
当たり前のことですが、面接時に嘘をついてはいけません。採用担当者はこれまでに多くの採用に関わってきたプロなので、嘘をつくとバレることも多いです。
また、ネガティブな言葉はなるべくポジティブな言葉に変換して話すようにしましょう。
例えネガティブな退職理由だったとしても、「仕事にやりがいを感じられないので退職しました」と言うより「もっと社会に貢献できるような仕事に挑戦したいと考えました」の方がポジティブですし魅力的に感じますよね。
ケース別|転職・退職理由(例)
では、実際に転職・退職理由をケース別に考えてみましょう。
基本的に、履歴書などでは退職理由は「一身上の都合により」とだけ記載し、詳しくは書きません。ですが、面接などでは詳しく質問を深堀される事が多いです。
その際は、隠すのではなく気をつけるべきポイントを押さえながら正直に話す事が大切です。
上司からのパワハラが原因の場合
人間関係が理由で退職を決意する人は多いです。
ですが、本当に上司から酷いパワハラを受けていたとしても採用担当者は面接の場において判断するしかありません。
その為「求職者の方にも非があるのではないか」と考える可能性があります。
採用において、コミュニケーション能力はとても重視される項目の一つです。その為「誰かに非がある」と一方的に相手を悪く言う事はおすすめしません。
あくまで「これから自分がどうなりたいか」という部分に重点を置く方が、面接官に効果的に訴えかける事ができます。
【回答例】前職では、トラブルがあった際にその原因を追求するのではなく、「誰が」という部分にのみスポットを当て、ミスを犯した人を追求するのみでした。業務改善が必要だと感じた私は、改善案を上司に提出し、何度も訴えかけましたが体制は改善されませんでした。この経験から、自己成長の重要性や、チーム全体の意見を尊重することが業務効率化には必要不可欠だということを学びました。今後は、自分自身のスキルアップや業務効率化を進めることで、御社に貢献できるように努めていきます。
残業が原因の場合
単に「残業が多い」という事だけ伝えてしまうと、「考えが甘い」と思われる可能性があります。残業が理由の場合は、1日○時間など、数字を使いながら「残業が多い」という事実をわかりやすく伝える必要があります。
また、残業が少ないというのは求職者側のメリットなので、「残業が少なくなると会社側にはどのようなメリットがあるのか」も併せて伝えられると効果的です。
【回答例】前職では、毎日4時間以上の残業や休日出勤が続き、プライベートの時間を確保することができなくなってしまいました。私自身、業務には真摯に取り組み、目標達成に向けて努力していましたが、長時間の拘束によって仕事とプライベートのバランスが崩れ、疲労感を感じるようになりました。その為、自分の仕事に対する熱意や目標達成に向けた努力を妨げることなく、仕事に全力で取り組める御社の環境で、自分のパフォーマンスを最大限に上げて貢献したいと考えています。
体調不良が原因の場合
体調不良で前職を退職した場合、内容について深く聞かれる可能性が高いです。
というのも、「また体調不良で退職してしまうのでは?」という不安材料になってしまうからです。
その為、体調不良の原因が完治しているのなら、「現在は完治しており業務に支障は無い」という事をはっきり伝える必要があります。
数年前、私は○○という病気にかかりました。当時、会社と休職について話し合いをしましたが、治療に専念するためにやむなく退職することを決めました。現在は治療を終え、健康状態も回復しております。療養中には、業務に必要な○○などの知識も学び、御社でこれまで以上に熱意を持って業務に取り組みたいと考えています。
キャリアチェンジが目的の場合
第二新卒の場合、経験やスキルが少ないため「キャリア」としてアピールできるものは限られます。そのため、自分の性格やコミュニケーション能力など、未経験分野でも有効に使える非技術的なスキルを積極的にアピールすることが重要です。
私は営業職での経験を活かしながら、よりスキルセットが幅広くなるIT業界へのキャリアチェンジを目指しています。営業職ではお客様のニーズを汲み取り、提案力や説得力を身につけることができました。IT業界では、その経験を生かしつつ、新しい知識や技術を学び、より広い視野でお客様に貢献できるエンジニアを目指しています。また、IT業界は今後ますます成長が見込まれるため、私自身も共に成長していきたいという思いがあります。
転職に適したタイミングはいつ?
新卒採用においては3月卒業→4月入社という流れが一般的です。
ですが第二新卒においては転職に適した特定のタイミングはありません。
敢えて言うなら「転職を考え始めた時」が適切なタイミングとなります。そのため、転職を考えている場合は、早めに就職活動を開始することが望ましいです。
第二新卒として就職活動ができる期間は限られています。また、もし就職活動をした結果、転職しなかったとしても自分の今の仕事を客観的に見る事ができるようになります。
またもしキャリアチェンジを考えているのなら、なるべく早く転職するに越した事はありません。
というのも年数を重ねるほど、企業は「キャリア」を求めるようになり、未経験者を受け入れてくれる所が少なくなるからです。
面接で上手に伝える方法
企業に短期離職とみなされるのは在籍2〜3年以内の離職です。ですので、第二新卒で転職するという事は「短期離職をしている」という事になります。
企業側は第二新卒の採用にあたって、長期的に貢献してもらいたいという思いがありながら「短期間で前職を離れている」という事実によって、ジレンマに陥ることがあります。
そのため第二新卒は、前職を短期間で離れた理由を明確にし、その課題を克服し、長期的に働く意思をしっかりと伝えることが必要です。
また、面接で納得してもらえるような退職理由を考えるのが難しい場合、第二新卒向けの転職エージェントを活用する事をおすすめします。
というのも、第二新卒向けの転職エージェントは一般向けの転職エージェントと違い、キャリアカウンセリングを重視し、親身になって対応してくれる事が多いからです。
特におすすめできそうな第二新卒におすすめの転職サイト・エージェントについてはこちらの記事にまとめています。