職業:大学のキャリアセンターで新卒〜既卒・第二新卒の就職支援を担当(現役)
資格:キャリアコンサルタント(国家資格)の他、CDA(キャリアデペロップメントアドバイザー)、進路アドバイザー、メンタルヘルスマネジメントⅡ・Ⅲ種など、キャリアと心理に係る多くの資格を取得。
備考:大学卒業後、新卒で銀行に就職したものの1年で退職し、その後5年間で5回の転職を経験。この経験から職業選択の重要性を痛感し、キャリアと心理に関する複数の資格を取得。大学のキャリアセンターに転職しこれまでに多くの求職者サポートに携わる。
10〜20代で就職活動をする際、既卒・第二新卒という言葉がよく使われます。
ですが、両者の違いが曖昧な人も多いのではないのでしょうか。
効率的な就職活動のためには、両者の違いだけでなく、有利なポイントも把握しておくことが必要です。
その為、この記事では既卒と第二新卒の違い|どちらが有利?効率的な就活の進め方と題し、注意点も併せて解説していきます。
既卒と第二新卒の違い
「既卒」とは、学校を卒業後3年以内の正社員経験がない求職者で、「第二新卒」とは同じく卒業後3年以内でありながら、正社員経験がある求職者のことを指します。
ただしこれは一般的な話で、厳密に言うと「既卒・第二新卒」という言葉には明確な定義は存在しません。
厚生労働省は過去に「卒後3年程度を新卒扱いに」という要請(強制力はなし)を出しているため「卒業後3年」という区切りが「なんとなくある」という状況です。
ただし、繰り返しになりますが「3年」という期間について明確な取り決めは存在せず、対象が「3年程度」となっている事から、企業によって認識が異なる場合も多くあります。
「既卒」「第二新卒」を国語辞典で調べると、下記のように記載されています。
- 既卒:すでに学校を卒業していること。卒業予定者または新卒に対して言う。
- 第二新卒:新卒で就職してから数年程度で退社した人。
ーgoo辞書より
第二新卒の場合、名前に「新卒」という言葉が入っている事もあり「卒業後数年程度」というのは共通認識になっているように感じます。
ですが、既卒は「すでに学校を卒業している状態」を指すので、「卒後3年」という意味合いに限らず「学校を卒業した人」として広範囲に適用されている事もあります。
注意点
3年以内に学校を卒業した求職者のうち、正社員経験が無いのが「既卒」、あるのが「第二新卒」という定義は世間一般に浸透しているとは言えず、曖昧なニュアンスで使われる事が多いです。
転職サイトや転職エージェントなどの求職者向けサービスでは、求職者をカテゴリ分けすることが行われていますが、企業側では「既卒」という言葉に、第二新卒と既卒の両方を含めている場合が多く見られます。
こういった定義が曖昧なものは「大まかな意味で理解する」ということが大切です。
新卒・中途・キャリア採用との違い
カテゴリ | 対象 | 採用側が主に求めているもの |
---|---|---|
新卒採用 | 新規学卒者 | ・コミュニケーション能力・ポテンシャル ・素直さ・柔軟性 |
既卒採用 | 卒業後3年以内で正社員経験が無い | ・社会人としてのマナー・ポテンシャル・柔軟性 ・コミュニケーション能力 |
第二新卒採用 | 卒業後3年以内で正社員経験がある | ・社会人としてのビジネスマナー・業務経験・ポテンシャル ・柔軟性・コミュニケーション能力 |
ポテンシャル採用 | 20代の若手 (既卒・第二新卒を含む場合あり) |
・社会人としてのマナー・ポテンシャル・成長意欲 ・行動力・コミュニケーション能力 |
キャリア採用 | 新卒以外 (3年以上の社会人経験があれば尚可) |
・業務経験・スキル・実績・専門性・リーダーシップ ・コミュニケーション能力 |
中途採用 | 新卒以外全て | ・業務経験・スキル・実績・適応力 ・コミュニケーション能力 |
既卒と第二新卒のどちらが有利?
第二新卒は社会人経験があるので、基本的なビジネスマナー(ビジネスメールの書き方や挨拶、適切な身だしなみなど)があるとされ、新卒や既卒より教育コストがかかりません。
対して、既卒は正社員経験は無いものの新卒と比べ社会人マナーを持っており、特定の企業に染まっていないので企業文化に馴染みやすく、また入社日が第二新卒より融通が利きやす点が企業にとってのメリットとされています。
効率的な就職活動の進め方
私はこれまでに対応した中で、中々就職活動が決まらない方も多くいらっしゃいました。その原因は「自分にあったツールを選べていない」事だと感じています。
というのも、企業が求人を出す際は学歴フィルターを設定していたり、年齢や性別に決まりがあっても法律や倫理的な観点から表に出すような事はしません。
ですがそれにより、本当は募集対象にならない人からも応募が来る事がよくあります。
企業と同じように、就職(転職)サイトやエージェントにも、求めているターゲット層がある場合が多いです。
逆に言うと、自分にあった就職(転職)サイト・エージェントを選ぶ事が出来さえすれば、就職活動はスムーズに行く事が多いです。
このサイトでは「既卒」と「第二新卒」に分けて、おすすめできる就職(転職)サイト・エージェントを解説していますので、是非下記の記事も参考にして下さい。
新卒扱いの求人には応募できる場合も
3年以内を新卒扱いとして採用するという考え方は、厚生労働省が3年以内の既卒者を新卒枠で応募受付するよう企業に要請していることからきていると考えられます。
ただし、ここでいう「既卒者」は3年間の卒業者とあるので、第二新卒も含んだ広い意味での既卒者を指しています。
事業主は、学校等の新卒者の採用枠に学校等の卒業者が学校等の卒業後少なくとも3年間は応募できるようにすべきものとする 引用:「青少年雇用機会確保指針」が改正されました ー厚生労働省
卒業後3年以内を新卒扱いするのは厚生労働省からの要請ではありますが、あくまで要請であるため罰則規定はありません。
ただし「新卒扱い」「新卒枠」というキーワードで探しても求人は中々見つかりません。
「新卒扱い」に自分が何を求めているかを明確にし、「未経験」「第二新卒歓迎」「研修が充実している」など、言葉を変えて探す事をおすすめします。
まとめ
既卒と第二新卒は一般的に「学校卒業後3年以内の求職者」を指します。両者の違いは「正社員経験があるかどうか」です。
どちらが有利かというのは企業の採用方針による為、一概には言えませんし、「既卒・第二新卒」と一括りにして求人募集を出す企業もあります。
若手の人材不足が深刻化する日本において、若い人材というのはそれだけで価値があります。
【新規学卒者初任給の推移】
【男性】 | 【女性】 |
引用:新規学卒者初任給ー(独)労働政策研究・研修機構
「新卒採用」と「新卒扱い」を混同する人をよく見かけますが、新卒採用は基本的に在学中の学生に対する採用活動を指す為、既卒や第二新卒が応募できるものは「新卒扱い」求人になります。
新卒扱いで既卒・第二新卒を採用しているかどうかは企業毎に違うので、各求人の募集要項をよく確認する必要があります。
ただし、就職活動を行う上では「新卒扱い」というキーワードで求人を探しても見つかりません。
「新卒扱い」という言葉に自分が何を求めているかをはっきりさせると就職活動はスムーズに行く事が多いですし、そのような細かいニーズに対応する為には、【第二新卒に特化した就職(転職)エージェント】を利用する事をおすすめします。
どの就職(転職)エージェントを利用するべきか迷う場合は、下記記事を参考にしてください。
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