名前:Kei 職業:大学のキャリアセンターで新卒〜若年者の就職支援を担当(現役) キャリアコンサルタント(国家資格)の他、CDA(キャリアデペロップメントアドバイザー)、進路アドバイザー、メンタルヘルスマネジメントⅡ・Ⅲ種など、キャリアと心理に係る多くの資格を取得。 資格: 備考:大学卒業後、新卒で金融業界に就職するが1年で退職。その後さまざまな仕事を経験するも、自分に合わず5年間で5回の転職を経験。この経験から仕事選びの重要性を痛感し、キャリアコンサルタント等の資格を取得して大学のキャリアセンターに転職。これまでに多くの求職者サポートに携わる。 |
就職・転職活動をする際、民間の転職サイト(人材紹介会社)を使うか、それともハローワークを使うべきかわからない人も多いのではないでしょうか。
「ハローワーク」と「民間の転職サイトやエージェント」は、求職者の対象や求人の質や年収等に大きな違いがあるため、利用する際にはその違いを理解しておくことが非常に重要です。
ですが、このような違いについて説明しているサイトは少ないです。
この記事では以下の事について解説します。
- ハローワークと民間の転職サイト(人材紹介会社)の違い
- 既卒・第二新卒が使うべきなのはハローワークと民間の転職サイトどちらなのか
- 転職に有利なのはどちらなのか?
ハローワークとは
ハローワークは厚生労働省が運営する就職支援サービス機関で、全国に500ヶ所以上もあります。
求職者や事業主は無料で利用でき、求人検索や職業相談、職業紹介、就職支援セミナー、職業訓練案内などのサービスが提供されています。また、雇用保険の手続きもハローワークで行われており、誰でも利用することができます。
ハローワークは「雇用のセーフティネット」という側面が強いので、大手優良企業というより、就職困難者に対する支援に強いです。
ハローワークの種類
ハローワークは、下記のように分かれています。
- ハローワーク(公共職業安定所)
- ハローワークプラザ
- マザーズハローワーク・マザーズコーナー
- 新卒応援ハローワーク
- わかものハローワーク・わかもの支援コーナー・わかもの支援窓口
- 外国人雇用サービスセンター
- ふるさとハローワーク(地域職業相談室)
- 福祉人材コーナー
若者向けのハローワークは「④新卒応援ハローワーク」「⑤わかものハローワーク」になりますが、新卒応援ハローワークは学校を卒業後概ね3年以内までの方を対象にしているのに対し、わかものハローワークは45歳未満の方を対象にしています。
また、R3年度時点で新卒応援ハローワークは全国に56箇所、わかものハローワークは21箇所設置されています。
民間の転職サイト(人材紹介会社)との違い
ハローワークと民間の転職サイト(人材紹介会社)には大きな違いがあります。
まず、民間の人材紹介会社の業務は基本的に「職業紹介」のみ行いますが、ハローワークは国の機関であるため、「職業紹介・雇用保険の手続き・雇用対策」などを行なっています。
上述した通り、ハローワークは「雇用のセーフティーネット」の役割があるため、生活保護受給者や母子家庭、障害を持った方やフリーターなど「特に支援を必要とする方」が多く利用しています。
求職者はこれらのサービスを無料で利用できますが、企業側は無料ではありません。ハローワークは無料で利用できても民間の職業紹介サービスについては手数料を払っています。
そしてこの手数料は年収の17%〜35%(一人当たり120万〜130万円)程度と言われています。
言い換えれば、民間の人材紹介会社を使う企業は「高額な手数料を支払ってでも人材を確保したい」と考えている中規模以上の優良企業が多いという事です。
転職に有利なのはどっち
ハローワークは受かりやすいって本当?
ハローワークはセーフティネットの役割があり就職困難者への支援をしているので、既卒・第二新卒で中々就職活動がうまくいかない場合「ハローワークを利用すれば内定を得やすいのでは?」と考える人もいるかもしれません。
ですが、「ハローワークは内定を得やすい」という考え方は誤解があります。
その理由を解説します。
ハローワークを利用する際の注意点
ハローワークは空求人(からきゅうじん)の問題が指摘されています。
空求人とは、「実際には採用するつもりが無いのに出している求人広告」のことを指します。
ハローワークは、採用意欲がほとんど無い企業が募集をかける事も多いと言われている為、「内定を得やすい」という考え方でハローワークを利用するのはあまり賛成できません。
空求人にあたると、真剣に就職活動をしている人にとっては時間の無駄になってしまいますので、空求人の特徴とも言われている「長期間求人掲載がされている」「求人内容に矛盾がある」ものには注意して下さい。
「ハローワークを利用すると内定が得やすいか」という問いに対しては、これらの状況を鑑みると一概に得やすいとはいえません。
「内定を得やすい」ではなく、どういった層の求人にアプローチしたいのかで利用を検討する方が良いですね。
年収や条件が良いのはどっち?
ハローワークと民間の転職サイト(人材紹介会社)においては、求職者の年収に大きな差があると言われています。
例えば、ハローワークを利用して転職する人の転職前年収は314.2万円に対し、民間の人材紹介会社を利用する方の転職前年収は560.2万円というデータもあります。※1
上記は転職「前」年収のデータではありますが、転職する際に年収を重視する人が多い事を鑑みると、より高い年収を目指す方は民間転職サイト(人材紹介会社)を利用する方がハローワークよりも有効です。
※1 参照:リクルートワークス研究所「ワーキングパーソン調査2010」(平成26年1月一般社団法人人材サービス産業協議会まとめ)
給与や福利厚生が良いのはどっち?
「転職に有利」つまり「内定を得やすく給与など条件が良い」という点から考えると、ハローワークは上述した点から、民間の人材紹介会社と比べて有利とは言えないと思います。
また給与水準など条件面から見ても、民間の人材紹介会社の方が上である事が多いです。
というのもハローワークの求人は、多くがが中小・零細企業からのものになりますし、特に零細企業にとってハローワークは採用必須のツールとなっており、大手企業の求人を見かける事は少ないです。
ハローワークと民間の転職サイト(人材紹介会社)どっちを使うべき?
内定を得られないという人の多くは、自分に合ったものを選べていない事が原因である事が多いです。
例えば、自分の経歴やキャリアに自信のある人が大手企業に転職するのと、あまり自信の無い人が大手企業を目指すのとでは、難易度が違ってきます。
ですので、就職活動を行う際は「ハローワークか民間の人材紹介会社か」という選び方ではなく、自分にあったツールを選ぶという事がとても重要になります。
そして民間の人材紹介会社を使う場合は【既卒、又は第二新卒に特化】したものを使う事をおすすめします。
ハローワークが新卒応援やわかものハローワークの他に、マザーズハローワークやふるさとハローワークなど対象者を8つのカテゴリに分けていたように、民間の人材紹介会社も多くの場合、対象となる層があります。
そしてこの対象にあった物を選べていなければ、支援内容がズレてしまい就職活動が長引いてしまう事があります。
まとめ
既卒・第二新卒|ハロワと民間転職サイトの違い!就活で有利なのは?と題して書いてきましたが、いかがでしたか?
ハローワークと民間の人材紹介会社の役割には大きな違いがあり、利用者層に関しても違いがあります。
ハローワークは雇用のセーフティーネットの役割があり、対象は就職困難者が中心となりますが、民間の人材紹介会社はホワイトカラーの求人も多くなります。
「どちらを利用すれば良いのか」という問いに関しては、自分がどういう会社で働きたいかによって変わってくるので一概には言えません。
ただ、既卒や第二新卒は企業からのニーズが高いため、就職活動をするなら【第二新卒に特化した転職サイトや転職エージェント】を使う事をお勧めします。
というのも一般向けのものに比べて既卒や第二新卒に特化したものは、キャリアカウンセリングやサポートに手厚いものが多いからです。