名前:Kei 職業:大学のキャリアセンターで新卒〜若年者の就職支援を担当(現役) キャリアコンサルタント(国家資格)の他、CDA(キャリアデペロップメントアドバイザー)、進路アドバイザー、メンタルヘルスマネジメントⅡ・Ⅲ種の他、キャリアと心理に係る多くの資格を取得。 資格: 備考:大学卒業後、新卒で金融業界に就職するも1年で退職。その後さまざまな仕事を経験するも、自分に合わず5年間で5回の転職を経験。この経験から仕事の選択の重要性を痛感し、キャリアコンサルタント等の資格を取得して大学のキャリアセンターに転職。これまでに多くの求職者サポートに携わる。 |
私は主に大学生を対象にした就職支援を行っているのですが、最近は既卒の方から相談される事も増えています。
職場には毎日多くの求人情報が届き、「既卒可」という求人も多くあります。ですので、就職活動中の既卒者に紹介できる求人がある場合は積極的にお伝えするようにしていますが…中には「既卒可」と記載されているにも関わらず、紹介しても年齢を理由に断られてしまうケースもあります。
一体これはなぜなのでしょうか。
就職活動で無駄な労力を払う前に、まず「既卒」の期間や年齢の考え方について知っておきましょう!
既卒の期間はいつからいつまで?
何となく使っている方も結構多いのではないでしょうか?
それもそのハズ…
実は「既卒」という言葉には法律などでがっちり定義されているような、厳密な定義が無いのです。
ただし、世間一般では『学校を卒業してから3年以内で、卒業後に正社員として勤務した事が無い人』と捉えられていることが多いです。
また学校というのは大学だけでなく、短大や専門学校、高校、中学など、とにかく「学校」と名のつくものが含まれます。
企業によっては「既卒可」とあっても、備考欄に「大卒以上」と記載されていたりする事も多いので、就職活動をする上では「既卒の定義は?」と考えるのではなく、各応募先企業が既卒に対してどのようなスタンスなのかを知る必要がありますね。
また、一般的には卒業後間もない方が就職活動のチャンスが多いとされていて、時間が経てば経つほど就職活動が難しくなる傾向があります。卒業後間もない既卒と3年目の既卒とでは就職の難しさは断然変わってきてしまいます。
既卒の年齢はどのくらい?
前述の通り、既卒とは一般的には「学校を卒業してから3年以内、かつ正社員経験がない方」を指しています。
つまり、中学校を卒業した15.6歳の方でも既卒とみなされ、また、大学院を卒業した方でも既卒枠に含まれることになります。
また、最近はリカレント教育なども声高に叫ばれているので、卒業後に学校に入り直したりする動きもでてきています。
そうなると、既卒には年齢制限など特に決まっていないので「社会人経験が長いのに既卒の枠に入る…なんて事も枠組み上は出来てしまうんですよね^^;
という事で
既卒の年齢を定義すると『15歳以上で上限無し』という事になります。
日本の大学(学部)進学率は、男女ともに50%を超えているという現状を考えると、世間一般にある多くの既卒のイメージは22歳〜25歳くらいを指していると思われます。
既卒について年齢の定義は曖昧なので、世間一般のイメージを重視した方がズレが無いでしょう。
既卒の数え方
学校を卒業してから3年以内を既卒として扱うことが多いですが、この3年とは具体的に言うと下記のようになります。
- 2023年4月時点で既卒1年目
- 2024年4月時点で既卒2年目
- 2025年4月時点で既卒3年目
4年目になると企業の採用も既卒ではなく「中途採用」とすることが多くなります。
ですので、この場合2026年3月までが、一般的な既卒の扱いになりますね。
既卒3年以内は新卒扱いって本当?
厚生労働省は2010年に「青少年雇用機会確保指針」を改正し、既卒でもスキルを問わず「卒業後少なくとも3年間は新卒枠に応募できるものとすること」と、新卒枠での応募を受け入れるよう事業主に要請を出しています。
※参照:「青少年雇用機会確保指針」が改正されました(厚生労働省)
その為、転職サイトなどを見ていると大手企業でも既卒可となっている所は数多くあります。
既卒を新卒扱いで採用している企業を探すには、転職サイトなどを活用する方が確実です。
例えば、リクナビNEXTでは求人を細かく条件毎に絞れるようにしているので『第二新卒歓迎』や『上場企業』『未経験歓迎』等で括ると、該当する求人が出てきます。
ただし、既卒者の新卒枠応募を受け入れる求人があったとしても、本当に内定が得られるのかどうかは本人の能力や、経験による所が大きいです。
既卒と新卒の違いは?
既卒と新卒を比べると、既卒はどうしても不利になります。
新卒採用は、学校を卒業したばかりの社会人経験が無い学生が採用されます。
新卒採用は、未経験者であるため、企業独自の研修や教育プログラムで手厚い対応が期待できる事が多いです。
その一方、既卒採用は、社会人経験(正社員でない)がある人材を対象としているので、新卒採用に比べると多少求められるスキルや経験が必要な場合もあり、企業にとっては即戦力として期待されることもあります。また、入社時期も年間を通して行われるので、研修や教育プログラムは、あまり行われない傾向があります。
マイナスな事ばかり書きましたが、私の職場では新卒を受け付けておらず、既卒や第二新卒だけを採用しています。
既卒や第二新卒はある程度社会人としてのマナーを身につけている事が多く、まだ若いのでポテンシャルがあるという事で評価しているようです。
このように、新卒より既卒を優先している企業もあるという事はぜひ知っておいて欲しいです。
「既卒で人生終了」はなぜ?
ところで、既卒について調べているとよく「既卒で人生終了」という悲しいキーワードを目にします…^^;
これはおそらく
という方が多いからではないかと思います。
ただ、多くの方の就職活動に携わってきた経験上、これは「既卒だから採用されない」という訳ではなく「就職活動の方法が間違っている」事が原因だと思います。
例えば、大手有名企業で『既卒可』となっていても、それは「留学をしていて新卒採用の波に乗れなかった」など、新卒採用以上にメリットを感じられる経験をしていた人のみを受付ている可能性があります。
また(公にはしていませんが)一定レベルの大学卒でないと門前払いにしている企業もあります。
ですが書きにくいとは言え
殆どの場合、企業側には明確に求める人物像があります。
自分自身の人物像と企業側の求める人物像が違っていると、何度応募しても結果は同じです。
残念ながら、求人票からだけでは企業が本当に求めている人物像がわからない場合があります。ですので、既卒の方にはぜひ【既卒に特化した転職サイトや転職エージェント】を使われる事をお勧めします。
既卒の就職活動における注意点
また、企業によっては「既卒可」としていても、備考欄に「高卒以上」「大卒以上」などと学歴基準を記載している事も多いです。
その為、就職活動を進めていく上では「既卒の定義は何か?」ではなく、各応募先企業が既卒にどのような考え方を持っているのか理解することが重要となります。
ちなみに、冒頭で述べたように「既卒可」と書かれた求人に応募したにも関わらず、年齢を理由に断られたケースがありましたが
この時、応募者は20代後半でした。
ですが応募先の企業は、採用する候補者の年齢を20代前半でイメージしていたため、応募者が採用されなかったようです。
残念ながらこの時は「既卒の年齢」についての認識の違いにより不採用となりました。
ですがそもそも既卒を募集する企業は、経験よりもポテンシャルを評価しようとする傾向が多いです。
ですので、もし熱意があるのに「既卒の枠に入っているか微妙…」という部分で悩んでいるのなら、個人的には是非その熱意を存分にアピールしてチャレンジしてみて欲しいと思います。
ちなみに、学校に来ている既卒求人であれば学校と企業との関係が深い場合も多く、また「学校からの紹介」となるとある程度無理を聞いてもらえる可能性もあります。
また、正社員としての就職を希望するのであれば、大手サイトや大手エージェントばかり使ってしまうと、中々マッチせず就職活動の期間だけが長くなってしまう可能性もあります。ですので、「既卒」に特化した就職サイトや転職エージェントを活用することはとても重要です。
まとめ
既卒とはいつからいつまでの期間?年齢について知っておくべき事と題して書いてきましたが、いかがでしたか?
「既卒」とは、学校を卒業してから3年以内で、正社員として勤務した経験がない人を指します。ただし、法律などで厳密に定義されている訳ではありません。
また、求人先の中には「既卒可」と掲載していても、備考欄に「大卒以上」等と記載している場合がありますが、このような場合、既卒でも大卒であることが前提となりますし、企業によっては、年齢制限を設けている場合があります。
ですので、既卒というのは一般的には22〜25歳くらいを指す事が多いですが、既卒者が求人に応募する際には、企業が既卒に対してどのような考えを持っているかを確認し、適切にアピールすることがとても重要です。
また、既卒の期間が長くなればなるほど、就職活動が難しくなる傾向があるため、既卒に特化した転職サイトや転職エージェントを使う事がとても重要になります。
未経験者に有利な既卒向けの就職サイトや転職エージェントについては、下記の記事も参考にしてくださいね!