職業:大学のキャリアセンターで新卒〜既卒・第二新卒の就職支援を担当(現役)
資格:キャリアコンサルタント(国家資格)の他、CDA(キャリアデペロップメントアドバイザー)、進路アドバイザー、メンタルヘルスマネジメントⅡ・Ⅲ種など、キャリアと心理に係る多くの資格を取得。
備考:大学卒業後、新卒で銀行に就職したものの1年で退職し、その後5年間で5回の転職を経験。この経験から職業選択の重要性を痛感し、キャリアと心理に関する複数の資格を取得。大学のキャリアセンターに転職しこれまでに多くの求職者サポートに携わる。
この記事では、失業保険(失業手当)の不正受給がバレる要因や、ハローワークと税務署の関係について
実際に失業手当を受けながら就職活動を行い、現在就職支援の仕事に従事している筆者がわかりやすく解説します。
失業保険の不正受給とは
実際には働いているのにその事実をハローワークに申告しなかったり、求職活動をしていないのに「した」と偽って申告するなど
不正な行為によって失業手当を受けようとした場合は全て不正受給とみなされます。
(実際に給付を受けたかどうかは問いません)
給付を受けていなくても、不正行為をすると「不正受給」と見做されるため、悪意なく不正行為を行なってしまう可能性もあります。
例えば、以下の行為は求職者側が「就職ではない」と考える可能性が高いものなので注意して下さい。
・会社で就職に必要な研修などを受けた
・働いたが、賃金は発生していない
・役員に就任した(名義のみ)
・自営業を始めた(収入が無い場合を含む)
悪意の有無に関わらず不正受給と認定される可能性があるので、少しでも疑問を感じたら、管轄のハローワークに相談する事をおすすめします。
実際にあった不正受給の事例
筆者はハローワークで失業保険について説明を受けた際、担当の職員から、実際に以下のような不正があったという説明を受けました。
ケースA定年後雇用保険の受給手続きをし、3ヶ月ほど雇用保険を受給。以前働いていた会社で週に3〜4日手伝いをしだしたが認定日にその事を申告せず。後で電話通報でその事がわかり不正処分を受けた。
<処分の内容>
返還金と罰金を併せて1,079,630円納付
残り72日支給停止ケースB生命保険会社で営業研修生として1日4時間の研修を受けたが、認定日にその事実を申告せず。後から会社より雇用保険の取得手続きがあり不正処分を受けた。
<処分の内容>
返還金と罰金を併せて280,070円納付
残り63日支給停止ケースC×月×日から就職しますと申告書で届け、雇用保険は就職の前日まで支払ったが、実際は就職日の数日前から働いていたことが、後日判明した。
<処分の内容>
返還金と罰金を併せて60,020円納付
残り48日支給停止
再就職手当 支給せずー引用:ハローワーク説明会より
正直、雇用保険の制度やルールはわかりにくいので、不正をするつもりがなくても不安になる方は多いのではないかと思います^^;
ただしハローワークは不正には厳しいですが、基本的に求職者の味方です。
何か判断に迷った場合は、個人で判断せずに都度ハローワークの指示を仰ぎましょう。
ハローワークと税務署の関係について
ハローワークは厚生労働省が運営しています。
求職者や事業主に対して様々な支援をしており、職業訓練や雇用保険の手続きなども行なっています。
対して税務署は財務省の管轄であり、国や地方自治体が徴収する税金に関する業務を担当する官公庁です。
具体的な役割としては、所得税や法人税などの税金の徴収・管理、納税者への相談対応、税務申告書の提出受理、税金の滞納処理などがあります。
ハローワークと税務署は管轄が違う為、両者に直接的な関係は無いとしても、ハローワークは必要に応じて調査をする事ができる為、税務署にデータの照会など行う事はあると思います。
不正受給がバレる原因
厚生労働省の資料によると、不正受給の件数は近年3,000件~4,000件台で推移しており、令和3年度のデータでは以下の状況になっています。
- 不正受給件数:4,367件
- 不正受給金額:830,270,000円
※1 参考:厚生労働省 令和5年度実施施策に係る政策評価の事前分析表 資料3−2
不正の状況としては「就職したにもかかわらずハローワークに届け出ていなかった」という例が多く、これは雇用保険などの資格取得手続時に発見される事が多いです。
ちなみに、雇用保険は全ての人が入る訳ではなく、一定の条件をクリアした人が対象になります。
- 1週間の所定労働時間が20時間以上
- 31日以上の雇用見込みがある
(雇用形態は関係ありません)
マイナンバーって関係ある?
国民の個人情報は、各行政機関がそれぞれ個別に分散管理をしていますが
マイナンバーは、社会保障と税、災害対策の分野において、複数の機関が保有している個人情報が同一人のものであることを確認するために利用されます。
ただし、情報の照会や提供の方法や手順についてはルールが定められており、個人情報が一元管理されている訳ではありません。
ただし、マイナンバーによって「これまでよりも照会しやすい」状況になっていると考えられます。
そういう意味では「マイナンバーは不正受給の発覚に関係している」と言えるかもしれません。
通報・密告でバレる事も多い
「不正受給は税金やマイナンバーからバレる」と考えている方が多いようですが、実は第三者からの通報で発覚するケースも多いです。
まあ日本国内でも失業保険受給不正のほとんどは密告でばれるってな話を…以前は職安のスタッフが偉そーに語っておったものよ…
— もふ⋈きち💉×4 (@LCW_mofu) May 18, 2023
私自身も失業手当を受けながら求職活動をした経験があるので、この制度には非常に感謝しています。
また、この財源は国民の税金です。
まとめ
失業保険(失業手当)の不正受給が発覚する原因として、多くの人がマイナンバーや税金との関連性を想像しがちですが
実際には雇用保険の加入情報や通報・密告などから発覚するケースが多いようです。
雇用保険の加入状況はハローワークが取り扱っており、ハローワークと税務署は異なる管轄となります。
そのため、ハローワークの領域にある雇用保険情報の方が、発覚がより容易になると考えられます。
ただし、マイナンバーによって照会は以前より容易になっているので、不正は発覚しやすくなっていると言えるでしょう。
最後に。
失業手当を受けるには、求職活動実績が必要となります。
なぜなら、失業手当とは安定した生活を行いながら就職活動を行うために給付されるものだからです。
登録は3分ほどで終わり、アドバイザーと面談しなくてもオンラインセミナーに参加できるなど、利用のハードルが非常に低いのが良かったです。
※オンラインセミナーでも求職活動実績として申請できます。
※有料職業紹介事業者は採用企業側から報酬を貰うので、求職者から費用を受け取る事は法律で禁止されています。
オンラインセミナーへの参加は、時間や場所を制限されませんし、最新の情報を取り入れた役立つ内容が多いので非常に参考になります。
詳しくは、リクルートエージェントのオンラインセミナーという記事にまとめていますので、是非こちらもご覧下さい。