職業:大学のキャリアセンターで新卒〜若年者の就職支援を担当(現役)
資格:キャリアコンサルタント(国家資格)の他、CDA(キャリアデペロップメントアドバイザー)、進路アドバイザー、メンタルヘルスマネジメントⅡ・Ⅲ種など、キャリアと心理に係る多くの資格を取得。
備考:大学卒業後、新卒で銀行に就職したものの1年で退職し、その後5年間で5回の転職を経験。この経験から職業選択の重要性を痛感し、キャリアと心理に関する複数の資格を取得。大学のキャリアセンターに転職しこれまでに多くの求職者サポートに携わる。
※この記事は、キャリアコンサルタント(国家資格)を持ち、現役で就職支援に従事している専門家が解説しています。
この記事では、現役で若年者の就職支援に携わっている筆者が、既卒ニートから人生を逆転させる為の正しい方法を自身の経験も含めて解説していきます。
逆転は「厳しい」「可能」どちらの意見を信じるべき?
世の中には「人生を逆転させた人」の話が沢山ありますよね。
でも、既卒ニートという括りで就職活動をしようと情報を検索すると「人生終了」「正社員は厳しい」など、多くのネガティブな言葉が出てきます。
一体どちらが正しいと思いますか?
世の中には、逆転を成功させた人も出来なかった人もいます。
両者の差は『正しい方法で取り組んでいるかどうか』によって大きく変わります。
あなたにとっての「人生逆転」とは何ですか?
『人生逆転』という言葉が示すゴールは、1人ひとり異なります。
ですので、まず自分がどうなりたいかというゴール設定を明確にする事が大切です。
人生逆転のために『大手企業で働きたい』『ホワイト企業が良い』『有名企業で働きたい』など、さまざまな希望があると思いますが
これらのキーワードは全て定義がなく抽象的です。
そして、キーワードが抽象的だと仕事探しも抽象的になってしまい、スムーズに進められなくなってしまいます。
大手企業に就職して人生を逆転させたい場合
就職活動において『人生を逆転する』という言葉を考えた時に、まず頭に浮かぶのは『大手企業に就職する』という事ではないでしょうか。
ですが、既卒ニートの方が『現状のまま』で大手企業に応募しても、採用される可能性はほとんどありません。
既卒ニートが持つメリットと足りない部分
大手企業に入るために、まず既卒ニートの方が何を持っていて何が欠けているのかを説明します。
既卒ニートのメリット
既卒とは学校※を卒業してから約3年以内の正社員経験が無い人のことを指します。
※大学、短大、専門学校、高校など。
既卒について年齢の定義はありませんが、22歳で大学卒業すると考えて、年齢は22〜26歳くらいの若い方が多いです。
物や人材の市場価値は需要と供給のバランスによって変化します。
少子高齢化によって日本の若者は減少傾向が続いており、20代の若手を欲しがる企業は非常に多いです。
よっぽど求人を選ばなければ、就職自体は難しい問題ではありません。
既卒ニートに足りないもの
一般的に転職をする時、給与がアップする人とダウンする人の違いは、これまでの経験をどう評価されたかに大きく左右されます。
そして既卒ニートの方はこの「経験」が不足しています。
ただし企業側が既卒ニートの方に「経験」で求めているものは、キャリア採用のような「即戦力」ではなく、「将来性」を指しています。
ですので、アルバイトとして勤務した事があればそれも「経験」になりますし、学生時代の経験や趣味、ボランティアなどの経験も評価される可能性があります。
基本的に、学生時代のアルバイト経験は履歴書の職歴欄に記載しませんが、卒業後は職歴として記載が可能です。
ただし経験は「何でも評価される」という訳ではありません。
例えば、こんな求人があったとします。
○○株式会社
- 業種:商社
- 職種:営業
- 求める人物像:コミュニケーション力が高く、明るく誰とでもすぐ打ち解けられる方
この求人にくまくん・ペンギンくんの2名が応募したとしたら、どちらが評価されやすいでしょうか。
この場合、評価されやすいのは「くまくん」です。
ペンギンくんがくまくんより劣っている訳ではありませんが、企業の求める人物像によって、評価されるポイントが変わってくるからです。
既卒ニートが大手企業に就職する正しい方法
既卒ニートが大手企業に就職する場合、まず中小企業で経験を積んで、スキルや経験を伸ばした上でチャレンジするという流れが一般的です。
その上で、下記の点を押さえると更に大手企業に就職できる可能性が高まります。
今後成長する産業を狙う
まず大手企業を狙うのであれば、今後成長する業界の中から選ぶ事をおすすめします。
というのも、これから伸びる産業は会社が大きくなるので採用も多くなりますし、入社しやすく、収入も上がりやすいからです。
また、万が一入社した企業と合わなかったとしても、転職しやすいという利点があります。
- IT業界
- EC業界
- 介護業界
- 医療業界
- フードデリバリーサービス業界
紹介予定派遣や契約社員も視野に入れる
最初から正社員で働こうとすると、大手企業はどうしてもハードルが高くなりがちです。
ですが、派遣(紹介予定派遣)や契約社員など正社員以外の雇用であれば、大手企業の求人は案外沢山あります。
<紹介予定派遣とは>
派遣期間が終了した後、本人と派遣先企業の両方が合意の上で社員となる制度。 派遣として短期間働く事で、仕事内容や環境など求人票に書ききれない部分を見極められます。また、採用のハードルが低い為、未経験でも希望の仕事に就職できる可能性が高いというメリットがあります。
大手企業の方が研修もしっかりしている事が多く、あまり名の知られていない中小企業の正社員として働いた経験より、大手企業の派遣・契約社員として働いた方が評価される事もあります。
新卒で就職しても3年以内に3人に1人が辞めている就職市場。
大手企業を目指すなら、まず最初から正社員で就職するという事にこだわらず、派遣や契約社員で入った大手企業でしっかりと研修と経験を積み
次は更に大手の企業に転職してキャリアアップするという方法も全然アリです。
既卒ニートに特化した就職サイト・転職エージェントを使う
既卒ニートからキャリアアップをして「人生を逆転させたい」と考えているなら、ぜひ【既卒ニートに特化】した就職サイトや転職エージェントを利用してください。
というのも、一般向けの就職サイトや転職エージェントは既卒ニートが対象外となっているところもあり、登録さえできない所も多いからです。
既卒ニートを始めとした、若者に特化した転職エージェントは、求職者の今後のキャリアに親身に寄り添ってくれる所が多いです。
通常は求職者1人ひとりに転職エージェントの担当者がつくので、その方に「ステップを踏んでいずれは大手企業に就職したい」という希望を話せば、そのキャリアプランを一緒に考えてくれるはずです。
転職エージェントは、求職者が企業に採用される事によって報酬を得ています。つまり求職者を就職させようと精一杯頑張ってくれるところが多いです。
そのようなアドバイザーが担当になった場合、担当者変更をお願いするか、転職エージェント自体を変えてしまう事をおすすめします。
転職エージェントと言っても人との関わりになるので、相性の悪い転職エージェントと出会う可能性はゼロではありません。
ですが、転職エージェントに1つしか登録していないと、それが全てだと思い込んでしまい、相性の悪さに気付かないかもしれません。
自分に合ったものを選ぶためには、まず既卒ニートに強い就職サイト・転職エージェントを複数登録し、最終的に自分と「相性が良い」と思う転職エージェントをメインに利用する方法がおすすめです。
就職活動において、7割以上の人が2つ以上の就職サイト・エージェントに登録しています。
※データ参照:【調査概要】2019年7月16日~7月17日 株式会社ジャストシステム「転職に関するアンケート」 調査対象:転職を経験したことのある男女199名(単一回答)
就職活動は情報が大切なので、就職サイトを情報収集のツールとして利用し、手厚いサポートを受けるために転職エージェントを利用するのが一般的です。
さらに言えば通常、退会する際に転職エージェントに引き止められることはありません。
自分にぴったりのツールを選ぶ最も確実な方法は、既卒向きの転職エージェントの中から、実際に試してみて、自分に適しているかどうかを自分自身で確認することです。
既卒におすすめの就職サイト・転職エージェントについてはこちらにまとめています。