名前:Kei 職業:大学のキャリアセンターで新卒〜若年者の就職支援を担当(現役) キャリアコンサルタント(国家資格)の他、CDA(キャリアデペロップメントアドバイザー)、進路アドバイザー、メンタルヘルスマネジメントⅡ・Ⅲ種の他、キャリアと心理に係る多くの資格を取得。 資格: 備考:大学卒業後、新卒で金融業界に就職するも1年で退職。その後さまざまな仕事を経験するも、自分に合わず5年間で5回の転職を経験。この経験から仕事の選択の重要性を痛感し、キャリアコンサルタント等の資格を取得して大学のキャリアセンターに転職。これまでに多くの求職者サポートに携わる。 |
私はキャリアコンサルタント(国家資格)を所有し、大学のキャリアセンターで働いています!
私は普段から模擬面接や履歴書添削などする機会が多いので、今回は既卒の面接で聞かれる事の多い質問を解説していきます!
既卒とは一般的に、正社員経験が無い卒後3年以内の求職者を指します。
『新卒カード』という言葉があるように、新卒採用は既卒採用に比べて有利な事が多いです。
その為、既卒で就職活動をしようとすると『なぜ既卒になったのですか?』という質問が必ずといっていいほど飛んできます。
『なぜ就職しなかったのか』理由の回答例
既卒になった理由としては、留学などポジティブな理由から、留年や就職活動に失敗したなどネガティブな理由まで色々な事情がありますよね。
ポジティブな理由
既卒の就活は「既卒期間が価値のあるものだった」と面接官に思わせる必要があります。そういう意味では「ポジティブな理由」の就活は先方にアピールしやすく、スムーズに進みやすいです。
留学
留学を経験した事で何を得たのかをハッキリと伝えられるようにし、また応募先の企業がどんな人材を求めているのかも踏まえて話をするとアピールに繋がります。
私は常に積極的な姿勢で、コミュニケーション能力に自信を持っています。さらに、以前から海外に興味があり、卒業後は自分の語学力を伸ばすため、海外留学に挑戦しました。留学先では、学びながら働くことで、語学だけでなく、現地の文化や価値観を深く理解することができました。また、留学を通じて、異なるバックグラウンドを持つ人々とコミュニケーションを取ることで、多様な視点を持つことができ、自分の視野を広げることができました。
今回御社に応募する理由は、私が持つコミュニケーション能力や留学経験を活かし、グローバルな視野を持つ人材として御社に貢献したいと考えているからです。私は御社が目指すビジョンに共感しており、一緒に働くことで、御社の成長に貢献したいと思っています。
留学で語学力や海外の価値観を学んだとしても、その企業が海外と関わりの無い会社であった場合、あまりアピールにならない可能性があります。企業がどんな人材を求めていて、自分がそこにどうアピールできるかという視点をしっかり持ちましょう。
「貴社」と「御社」を正しく使い分けできますか?
貴社(きしゃ)は、書き言葉(履歴書やメールなど、書く時に使う言葉)
御社(おんしゃ)は話し言葉(面接など会話の中で使う言葉)です。
間違えやすいので気をつけて下さいね!
ネガティブな理由
では次に、ネガティブな理由での回答例を見ていきましょう。
留年
ネガティブな理由でも、既卒の理由を質問されて答えない訳にはいきません。その場合は無理に取り繕うとせず、過去を反省して努力している事をアピールする方が好感が持たれます。
私は大学4年生の時、就職活動よりアルバイトを優先してしまい単位を取得できず留年してしまいました。この経験を心から反省し、自分自身を見つめ直し、心を入れ替えて授業を優先することを決意しました。また、自己管理の重要性に気づき、徐々に自分自身を律するようになりました。その結果成績が向上し、そこから単位を落とすことなく卒業する事ができました。
留年した事により就職活動が遅れ、結果として既卒となりましたが、御社に採用された場合は責任を持って業務に取り組み、自己管理スキルを更に磨き、御社の一員として貢献できる人材になりたいと思っています。
やる気が無く何もしていなかった
新卒は有利だとわかっていても、「自分が何をしたいのか」がわからないと就活をやる気も起こりませんよね。そんな時は言い訳をしたりせずに、自分がどう反省し、そこからどう行動してきたのかをはっきり伝えましょう。
新卒時の就職活動では、自分の考えが甘く、自分が本当はどういう仕事に就きたいのか、将来について十分に考えることができませんでした。その為、就職活動が思うようにいかず、最終的に就職できず卒業してしまいました。ですが、既卒の期間に真剣に自分自身と向き合い、自己研究をし、自分がやりたいことを明確にすることができました。その後、業界の研究に時間を費やす中で御社の事業を知り、自分のやりたい事が出来ると確信した為、応募することを決めました。
公務員を目指していた
既卒の方の中には「公務員を目指していた」ことで就職活動が遅れてしまった方もいると思います。
公務員試験に採用されず民間を目指すという事は企業側からすると「公務員が駄目だったから仕方なくウチを受けているのでは?」と思われる可能性があります。ネガティブな印象を持たれないよう、応募先の企業に対しての熱意を存分にアピールしましょう。
私は当初、公務員を目指していました。そして試験勉強の際に、社会に貢献する仕事に就くことが人生の目的であると再認識しました。公務員試験に落ちたことは大きなショックでしたが、その後、民間企業でも社会貢献性の高い仕事に挑戦できることを知り、私の新しい夢を見つけました。
御社には、社会に貢献できる仕事が沢山あります。私は御社で働くことで、より多くの人々に貢献したいと考えています。私は公務員試験の失敗から多くのことを学びました。その経験を活かし、御社で新たなチャレンジをし、成長し続けたいと考えています。
卒業後も新卒扱い?
ところで、卒業後3年間は新卒扱いという話を聞いた事がある方も多いのではないでしょうか。
厚生労働省は「青少年雇用機会確保指針」で、「卒業後3年までを新卒扱いとする」という指針を定めており、既卒者を新卒扱いで採用する企業は増えています。
ですがこの指針はあくまで企業側へ「要請」しているものであって、実際の採用については各企業に任されています。
全ての企業が既卒を新卒扱いで採用しているという訳ではありませんので、応募する際は採用ページでなどで確認する必要があります。
一緒に聞かれる事の多い質問
志望動機・自己PR
志望動機や自己PRは面接時にほぼ確実に聞かれる質問です。
よくこれらの質問に答えられない方がよくいますが、その原因はほとんどの場合、企業分析と自己分析が浅いからです。
履歴書作成や面接時に大切な事は、企業がどういう人材を求めているのか(企業分析)を理解し、「私はその求めている人材(自己分析)ですよ」とアピールする必要があります。
経理の経験者を求めている企業に、医師免許をアピールして応募しても落ちてしまいますよね。相手の求めているものを「私は持っています!」とアピールする事が就職活動の基本です。
それをするには企業分析と自己分析の両方が必要になり、どちらか片方だけできていてもうまくアピールできません。
逆に、両方が十分にできている場合はこの質問に困る事はありません。
ガクチカ
既卒の面接でも『学生時代に力を入れた事はなんですか?(通称:ガクチカ)』と聞かれる事は多いです。
卒業したとは言え、まだ社会人経験も浅いため学生時代にどんな事に力をいれていたのかは採用側も気になる点なのです。
学生時代に何も頑張ったことがない方より、何か熱心に取り組んだ経験のある人の方が当然評価されます。
例えば勉強なら
「2年時には成績が平均以下でしたが、その悔しさをバネに必死に勉強しました。学費の為アルバイト時間を削る事ができなかったので、通学時間やアルバイトの休憩時間など少しの時間も取りこぼさないよう、隙間時間も活用して勉強しました。その結果4年時には全ての科目で80点以上になり、成績上位者となる事ができました」
など、数字やエピソードなども交えてわかりやすく話すようにすると良いですね。
長所・短所
長所や短所も質問されやすい項目です。
長所の内容については自己PRと被る方も多いのではないでしょうか?
よく「自己PRと長所の答えは変えないといけない」と思い込んでいる方を見かけますが、そうではありません。
そもそも企業側がこれらの質問で聞きたい事の本質は同じです。
貴方をその企業で雇うメリットを聞かれているのです。
質問自体が同じような物なので、回答が似てしまうのは仕方無い事なんです。
本番の面接はどんな質問が飛んでくるのかわかりません。
ある程度聞かれるであろう質問は予想できますが、その時の会話の流れで予想できない事を質問される事もあります。
例えば自己PR、長所、自己紹介などの質問に対する答えはほぼ同じでも特に問題ありません。
なぜなら面接官が聞こうとしている質問の本質(会社にとって採用するメリット)は同じだからです。
繰り返しになりますが、面接が苦手な方は1つの質問に対して1つの回答を用意しようとしがちです。
そういう場合は回答を沢山準備するのではなく、質問の本質を考え、自分の考えにどう当てはめられるのか(準備している答えの中に使えるものはないか)と考える練習をする方が上達する場合が多いのです。
ストレス耐性
既卒で就活をしている方に対してよくされるのが「ストレス耐性を問う」質問です。
既卒は、どうしてもネガティブな印象を持たれがちです。
「新卒で就職活動ができなかった」「忍耐力が無い」と思われ、「採用しても、何かあればすぐに辞めてしまうのでは?」と心配される傾向があります。
その為ストレス耐性については高確率で質問されます。
具体的な聞き方として、下記のような質問が多いです。
- どんな時にプレッシャーを感じますか?
- これまでの人生の中で一番大きな挫折と、それをどのように克服したのか教えて下さい。
- 取引先から理不尽な要求をされたら、どう対処しますか?
- ストレスの解消方法を教えて下さい
逆質問
逆質問、つまり面接の最後に企業側の方から『何か質問はありますか?』と逆に聞かれる事ですね。
しっかり面接対策されてきた方でも、最後この逆質問でつまずく人が多いです。
逆質問で何も質問できなければ、企業側に「熱意がない」「志望度が低い」と捉えられる可能性があると聞いて、無理矢理質問を考える人がいます。
上記の逆質問は特に問題がある訳ではないのですが…
面接をしていると同じような質問が多いので、正直「また同じ質問か」と面接官に思われる事が多いです。
質問をする時は、どこにでも使える質問ではなく、「その企業に特化」し、「自分が何をしたいのか、その為にこれまでに何をしてきたのか」を組み込めると良いですね。
御社では○○の分野に力を入れていると拝見しました。私は○○に興味があり、○○という資格を勉強しています。御社に採用された場合、○○を活かす事は出来るでしょうか?
面接を成功させる方法
就職活動は1人で行っていても限界があります。
なぜなら、面接は自己評価ではなく他者評価で決まるからです。
ですので、就職活動する場合は【既卒に特化した就職サイトや転職エージェント】を使う事をお勧めしています。
就職サイトやエージェントは、就職活動のプロが模擬面接や自己分析・履歴書添削など全て無料で行ってくれます。
大手就職サイトや大手転職エージェントは、どちらかというと正社員経験のある方向けの物が多いです。
大手は求人や自己分析ツールなどが充実している為、活用する分には良いのですが、就職活動をスムーズに進める為には並行して【既卒に特化した就職サイトやエージェント】を使う事をお勧めします。
既卒に有利な既卒向け就職サイトや転職エージェントについては、下記の記事も参考にしてくださいね!
まとめ
例文|既卒面接で『なぜ就職しなかったのか』に即答できる答え方と題して書いてきましたが、いかがでしたか?
既卒採用をする企業はポテンシャルを重視している所が多いです。
『なぜ就職しなかったのか』という質問に対する答えがネガティブな理由だったとしても、その場を取り繕うのではなく、それをどう反省し、どう活かしてきたのかを説明することができれば評価してくれるところが多いです。
また、面接で既卒に聞かれやすい質問についても解説してきましたが、面接が苦手だという人の多くが「1つの質問に対して1つの回答を準備」しようとしています。
企業分析と自己分析が十分にできていれば、聞かれた質問に対してどう答えるべきか自然にわかってくると思うので、あまり硬く考えず貴方の良さをアピールできるよう頑張って下さいね!
ただし、ぶっつけ本番で面接を受けると雰囲気に飲まれてしまう人も多いです。
就職サイトや転職エージェントを上手に活用できると、就職活動がスムーズにいく事が多いです。