職業:大学のキャリアセンターで新卒〜既卒・第二新卒の就職支援を担当(現職)
資格:キャリアコンサルタント(国家資格)の他、CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)、進路アドバイザー、メンタルヘルスマネジメントⅡ・Ⅲ種など、キャリアと心理に係る多くの資格を取得。
経歴:大学を卒業後、5年間で5回の転職(派遣・アルバイト・正社員含む)を繰り返した経験から、職業選択の重要性を痛感。現在は大学のキャリアセンターで働き、多くの求職者支援に携わる。
「地元を離れて働きたいけど、ハローワークの登録って地元以外でもできるの?」「転居予定だけど、先に別の地域で登録してもいいの?」そんな疑問を感じている人は少なくありません。
この記事では、ハローワークの求職登録を「地元以外(管轄外)」で行う場合のルールや手続きの流れ、注意点を詳しく解説します。あわせて、登録後に受けられる支援内容や、地元以外で登録するメリット・デメリットも紹介します。
記事を読むと、地元以外のハローワークで登録する方法や注意点が理解でき、自分の状況に合った登録先を選べるようになります。
ハローワークの求職登録そのものは地元以外でも可能ですが、雇用保険などの手続きがある場合は現住所の管轄のハローワークで登録しましょう。正しいルールを理解して登録すれば、希望する地域でスムーズに就職活動を進めることができます。
ハローワークの求職登録は地元以外でもできる?

ハローワークでの求職登録は、基本的に全国どこのハローワークでも行うことができます。つまり、「求人を探したい」「相談したい」といった目的だけであれば、地元以外のハローワークでも利用可能です。
ただし雇用保険(失業手当)の手続きや受給を希望する場合は、自宅の住所を管轄するハローワークで求職登録を行う必要があります。
たとえば「東京に住んでいるが、地元・福岡で仕事を探したい」「実家の近くで転職先を見つけたい」という場合、仕事探しや相談は福岡のハローワークでも行えます。しかし、失業給付(雇用保険)の申請や職業訓練の手続きは、東京(現住所)のハローワークでしか行えないので注意してください。
- 「求人検索・職業相談」などの就職支援 → 全国どこでも利用可能
-
「失業給付・職業訓練」などの制度手続き → 現住所の管轄ハローワークのみ
違いを理解した上で、目的に合ったハローワークを選ぶことが大切です。
ハローワークにおける現住所の扱い|住民票を移していなくても求職登録できる
ハローワークで求職登録を行う際、「現住所」の証明として必ずしも住民票の移動が完了している必要はありません。
基本的には、現在実際に居住している場所が「現住所」として扱われます。そのため、転居直後で住民票の移動手続きがまだ済んでいない場合でも、 現住所を確認できる書類(運転免許証・健康保険証・公共料金の請求書など)があれば登録が可能です。なお、必要な書類や確認方法は地域によって異なる場合があるため、事前に登録予定のハローワークへ確認しておきましょう。
ハローワークの求職登録において重要なのは「どの地域で求職活動を行うか」という点です。実際の居住地をもとに手続きを行えば、地域に合った求人紹介や職業相談をスムーズに受けられます。ただし、雇用保険の受給を伴う場合は、住民票の移動後に管轄を変更する手続きが必要になることもあります。
退職後に引っ越しを予定している場合
退職後に引っ越しを予定している場合は、引っ越しの時期や転居先が決まっているかどうかによって、登録すべきハローワークが変わります。
たとえば、退職してから1〜2週間以内に引っ越す予定がある場合は、引っ越し後に新住所地を管轄するハローワークで求職登録を行うほうがスムーズです。早い段階で登録しても、すぐに転居手続きが必要になり、手続きが二重になる可能性があるためです。
一方で、転居までに1〜2か月ほど余裕がある場合は、現在の住所地(地元)のハローワークで求職登録しておくという選択肢もあります。その後、引っ越しが決まった段階で「転居届」を提出すれば、新しい地域のハローワークへ管轄を移すことができます。
このように、転居の時期が近いか、少し先かによって、登録すべきハローワークが変わります。
雇用保険(失業手当)の受給手続きでは「離職票の提出」と「求職申込み(登録)」の両方が必要です。どちらかが遅れると、支給開始時期も後ろ倒しになるため、できるだけ早めに手続きを済ませましょう。
判断に迷う場合は、現住所の管轄のハローワークで「転居予定日」や「求職活動の希望地」を伝え、最適な登録方法を相談しておくと安心です。
自分の管轄のハローワークを探す方法
ハローワークは全国に500以上あり、それぞれが地域ごとの管轄エリアを担当しています。
自分の管轄のハローワークは、厚生労働省が運営する公式サイト「ハローワーク所在地一覧」から簡単に確認できます。現住所の管轄のハローワークを調べたい場合は、以下のリンクを参考にしてください。
「現住所」と「希望勤務地」が異なる場合、求職登録時に職員にその旨を伝えておくと、今後の相談やサポートをスムーズに受けられます。
管轄外のハローワークで求職登録する際の手続きの流れ

管轄外のハローワークで求職登録を行う場合も、基本的な手続きの流れは変わりません。主な求職登録の流れは、以下の3ステップです。
- 窓口またはインターネットで求職申込み
- 職員との面談
- 求人紹介や職業相談の利用開始
地元以外で登録する場合でも、登録後は希望地域の求人情報を閲覧したり、現地の企業に関する相談を受けたりと、通常と同様のサポートを利用できます。
ハローワークの求職登録に必要な書類と持ち物

求職登録の際には、以下の書類や情報を準備しておくとスムーズです。
- 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
- 履歴書や職務経歴のメモ(登録時に経歴を入力するため)
- 求職申込書(窓口またはインターネットで作成可能)
求職登録と同時に雇用保険(失業手当)の手続きを行う場合は、離職票も持参しましょう。初めて求職登録をする場合の所要時間は20〜30分程度ですが、雇用保険(失業手当)の手続きも行うと全体で50〜60分程度かかることがあります。
求職登録後にできる求職活動実績の作り方
求職登録は、雇用保険(失業手当)の手続きと同時に行う人が多いです。失業手当を受け取るには、認定日までに複数の求職活動実績を作る必要があります。
求職活動実績には、求人への応募や職業相談のほか、セミナーや説明会への参加も含まれます。中でも自宅で簡単に参加できるオンラインセミナーは、時間や手間をかけずに実績を積める方法として人気です。
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ハローワークの求職登録はオンラインで完結する?
現在は「ハローワークインターネットサービス」から、オンラインで求職申込み(仮登録)ができるようになっています。サイト上で基本情報を入力して仮登録を行い、その後、ハローワーク窓口で本人確認を済ませると正式登録が完了します。
完全にオンラインだけで手続きを完結することはできませんが、事前に仮登録しておくと来所時の手続きが短縮され、スムーズに求人検索を始められます。
仮登録の入力完了後は、原則14日以内にハローワークへ行き、本登録を行う必要があります。期間を過ぎると登録情報が無効になるため注意しましょう。
本登録が済むと、自宅から求人検索や紹介状交付の依頼、来所予約などが行えるようになります。
地元以外でハローワークに登録したい人が多い理由
近年、働く場所や生き方の多様化により、地元以外のハローワークで求職登録を希望する人が増えています。たとえばUターン・Iターン転職や地方移住を考えている人、遠距離通勤を避けたい人などが該当します。
リモートワークや副業など柔軟な働き方が広がり、「今の住所にこだわらない就職活動」をする人も増加しています。引っ越し前から希望地のハローワークに登録しておくと、現地の求人情報や相談を早めに得られます。
雇用保険(失業手当)を受ける場合の管轄ルール

ハローワークでは求職登録自体は全国どこでも可能ですが、雇用保険(失業手当)の手続きは「現住所を管轄するハローワーク」でしか行えません。これは、失業給付が生活支援を目的とする制度であり、本人の居住地を基準に管理されるためです。
たとえば、現在は東京に住んでいて、今後大阪での就職を希望している場合でも、給付金の申請・認定は東京のハローワークで行う必要があります。その一方で、仕事探しや求人紹介の利用は大阪のハローワークで行うことができるため、「給付は現住所」「就職活動は希望地」と分けて利用するケースもあります。
なお、転居した場合は速やかに住所変更を届け出ることで、新しい住所地のハローワークに管轄を移すことが可能です。引っ越し前後で手続きを怠ると給付が一時的に止まることもあるため、転居予定がある人は早めに相談しておきましょう。
ハローワークの求職登録後に受けられる支援

ハローワークで求職登録を済ませると、以下の就職支援サービスを利用できるようになります。
- 職業相談と求人紹介を受けられる
- 紹介状の発行から内定までのサポートを受けられる
- 職業訓練を活用できる
職業相談と求人紹介を受けられる
職業相談では、専任のハローワーク職員が希望条件や経験、適性をヒアリングし、自分に合った仕事探しを一緒に考えてくれます。求人検索端末を使った自己検索もできますが、相談員を通じて検索では見つけにくい新着求人や、応募条件の緩和が可能な案件など、より具体的な提案を受けられることもあります。
初めての就職・転職活動で不安がある人にとって、専門的なアドバイスをもらえるのは大きなメリットです。
紹介状の発行から内定までのサポートを受けられる

ハローワークを通じて求人に応募する際は「紹介状」の発行が必要です。紹介状とは、応募先企業に対して「ハローワークが求職者を紹介します」と示す正式な書類で、履歴書や職務経歴書と一緒に提出します。
希望すればハローワークの職員から応募書類の内容チェックや送付方法のアドバイス、面接の日程調整の相談なども受けられます。ハローワークのサポートを活用することで、応募から面接・内定までの流れがスムーズになり、安心して就職活動を進められます。
職業訓練を活用できる
ハローワークでは、再就職に必要なスキルを身につけるための職業訓練制度も利用できます。訓練内容は事務や介護、IT、製造など幅広く、受講料が無料のコースも多くあります。
特に、キャリアにブランクがある人や未経験の職種に挑戦したい人にとって、スキルアップをしながら再就職を目指せる貴重な機会です。
雇用保険受給中に公共職業訓練を受ける場合は、基本手当の継続支給や、要件に応じて受講手当・通所手当等が支給されることがあります。一方、雇用保険を受給できない人で一定の要件を満たす場合は、求職者支援制度の『職業訓練受講給付金』を利用できる場合があります。
地元以外のハローワークで登録する際の注意点

地元以外のハローワークでも求職登録は可能ですが、以下の点に注意してください。
- 住所と管轄の扱い
- 登録窓口の選び方
住所と管轄の扱い
ハローワークでは、現住所によって担当(管轄)が決まるのが原則です。
たとえば、東京に住んでいる人が大阪での仕事を探したい場合、求人紹介は大阪のハローワークでも受けられますが、失業手当の受給や雇用保険の手続きは東京のハローワークが担当になります。
このように「求職活動」と「給付手続き」で利用する窓口が異なることがあるため、最初にどの手続きをどこで行うべきかを確認しておきましょう。
登録窓口の選び方

地元以外で登録する場合は、働きたい地域のハローワークを選ぶのが基本です。各管轄のハローワークは地域の求人情報に強く、企業とのつながりも深いため、現地採用のチャンスを広げやすくなります。
UターンやIターンでの転職を考えている人は、希望地のハローワークで情報を集めておくと安心です。若年層や子育て中の方は、「わかものハローワーク」や「マザーズハローワーク」など、対象に特化した窓口を活用するのも効果的です。自分の目的や立場に合ったハローワークを選ぶことで、より実践的なサポートを受けられます。
地元以外(管轄外)のハローワーク求職登録が向いている人・向かない人

ハローワークの求職登録は地元以外で登録したほうがスムーズに転職活動を進められる人もいれば、手続きや給付の関係で不便になる人もいます。ここでは、以下の視点から解説します。
- 向いている人:転居予定やUターン・Iターン希望者
- 避けたほうがいい人:失業給付受給中・職業訓練希望者
向いている人:転居予定やUターン・Iターン希望者
引っ越し予定のある人やUターン・Iターン転職を考えている人は、地元以外での登録が向いています。将来的に働きたい地域のハローワークで登録することで、現地の求人情報を早めに把握でき、面接や企業訪問の調整もしやすくなります。
また、地域密着の求人や自治体主催の就職イベントなど、地元では得られない情報にアクセスできるのも大きなメリットです。引っ越し後の就職活動をスムーズに進めたい人は、希望地のハローワークで事前に登録しておくと効率的です。
避けたほうがいい人:失業給付受給中・職業訓練希望者
失業手当を受給中の人や職業訓練を希望している人は、管轄以外での登録は避けたほうが無難です。失業給付や訓練の申込みは、現住所を管轄するハローワークでしか手続きできないため、他地域で登録しても正式な申請ができません。また管轄外で活動すると、給付の認定や出席確認などが複雑になり、支給遅延につながるケースもあります。
生活支援を受けながら活動する場合は、まず現住所のハローワークを利用し、転居が確定したタイミングで管轄を変更するのが安心です。
ハローワーク以外の就職支援サービスも活用した方が良い理由

ハローワークは公的機関として幅広い求職者をサポートしていますが、すべてのニーズに完全に対応できるわけではありません。より効率的に転職活動を進めたい場合は、ハローワーク以外の就職支援サービスも併用するのがおすすめです。
転職エージェントや求人サイトは、ハローワークでは扱っていない「非公開求人」や「企業との独自ルート」を多数持っています。とくに民間の転職エージェントは、担当アドバイザーがキャリア相談や書類添削、面接対策までサポートしてくれるため、短期間で条件の良い求人を見つけたい人に向いています。
ハローワークを基盤に、民間や自治体のサポートを組み合わせることで、求人の幅が広がり、より自分に合った仕事に出会える可能性が高まります。
まとめ|地元以外でも登録は可能、ただしルールを理解して活用しよう

ハローワークの求職登録は、地元以外(管轄外)のハローワークでも行うことが可能です。
ただし、失業給付や職業訓練などの制度は「現住所を管轄するハローワーク」でしか受けられません。そのため、転居予定がある人やUターン・Iターン転職を考えている人は、希望地のハローワークで登録を行い、求人情報を早めに収集しておくと効果的です。
一方で、生活支援を受けながら就職活動を進めたい場合や、職業訓練を利用したい場合は、現住所の管轄内で登録・手続きする方がスムーズです。自分の目的に合わせて「どのハローワークで登録すべきか」を見極めることが、効率的な活動につながります。
また、ハローワークだけに頼らず、転職エージェントや求人サイトなど民間の支援サービスも併用することで、求人の選択肢をさらに広げることができます。
ルールを理解したうえで複数の支援を上手に使い分ければ、地元以外での就職・転職活動も安心して進められます。