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名前:Kei 職業:大学のキャリアセンターで新卒〜若年者の就職支援を担当(現職) キャリアコンサルタント(国家資格)の他、CDA(キャリアデペロップメントアドバイザー)、進路アドバイザー、メンタルヘルスマネジメントⅡ・Ⅲ種の他、キャリアと心理に係る多くの資格を取得。 資格: 備考:大学卒業後、新卒で金融業界に就職するも1年で退職。その後さまざまな仕事を経験するも、自分に合わず5年間で5回の転職を経験。この経験から仕事の選択の重要性を痛感し、キャリアコンサルタント等の資格を取得して大学のキャリアセンターに転職。これまでに多くの求職者サポートに携わる。 |
新卒に比べ、既卒は就職活動が不利と言われています。ですが既卒から大手企業を目指そうと考える人も多いのではないでしょうか。
そもそも大手企業は、新卒であっても簡単には入れません。
『既卒3年以内なら新卒扱いになるから、新卒と同じ条件で選考される』と思っている方もいるかもしれませんが、実際はそう単純ではありません。
ただし、既卒でも大手企業に採用される可能性はあります。そして、内定を得やすいタイプの人もいます。この記事では、どんな人が採用されやすいのかを解説していきます。

大手企業(大企業)の定義について
大手企業の認識が曖昧な人が多い
私はよく就活中の方から『大手企業に入りたい』という希望を聞くのですが、具体的にどんな会社に入りたいのか聞くと答えられない方が多いように感じます^^;
実は、大手企業とは『特定の業界の中でも規模や知名度で上位に位置する企業のこと』を指し、明確な基準はありません。
また一文字違いで【大企業】という言葉がありますが、これは知名度などは関係なく、中小企業よりも規模が大きい企業を指すので資本金や従業員数が基準となります(下記に詳細)
ただし、この違いを意識して使っている方はほとんどいません。
大企業の判断方法
大手企業は明確な定義がないのですが、それと混同されがちな【大企業】についてはある程度判断する事ができます。
大企業は、中小企業より大きな会社を指します。
中小企業庁が示す中小企業の定義を参考にすると、大企業とは、その定義より規模が大きい企業になります。
下記は中小企業の定義なのですが、これより資本金や出資の総額が上で従業員の数が大きければ大企業という判断になります。
業種分類 | 中小企業基本法の定義 |
---|---|
製造業その他 | 資本金の額又は出資の総額が3億円以下の会社又は 常時使用する従業員の数が300人以下の会社及び個人 |
卸売業 | 資本金の額又は出資の総額が1億円以下の会社又は 常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人 |
小売業 | 資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は 常時使用する従業員の数が50人以下の会社及び個人 |
サービス業 | 資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は 常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人 |
(参照:中小企業者の定義ー中小企業庁)
大企業であり、また知名度もあれば大手企業と言えますね。
ただ、繰り返しになりますが、多くの方が『大手企業』や『大企業』という言葉を知名度で判断しているという点には気をつけておきましょう。
大手企業に採用される人物像や必須条件
「既卒3年以内は新卒扱い」でも新卒より不利
『既卒3年以内は新卒扱い』という話を聞いた事がある方も多いのではないでしょうか?
これは厚生労働省から事業主に対して『学校を卒業してから3年間は経験に捉われず採用をするように』との趣旨で出されているのですが、実際の所どう判断するかは事業主の判断に任されています。
大手企業は多くの人材を採用します。『労働政策研究 ・ 研修機構の企業の多様な採用に関する調査』によると、1000人以上の企業が最も多くの既卒を受け入れているという調査結果もあります。
ただし採用人数でなく割合で言うと「大手企業であればある程」既卒よりも新規学卒者の採用に重点を置いています。
(引用:企業の多様な採用に関する調査ー労働政策研究・研修機構)
既卒者の募集状況を見ると、新卒採用枠に既卒者も応募可能とした事業所は、令和元年には70%となっています。
新卒と比べると、やはり既卒の就職活動は不利だと言わざるを得ません。
ちなみに、全国や海外に展開する企業ほど新規学卒採用に重点を置き、事業所が1箇所に展開する地域ほど中途採用に力を入れている傾向があるようです。
既卒が新卒採用に応募するには?
学生のときに就職活動をしたことがある人の多くは、リクナビやマイナビといった大手の就職サイトを利用した経験があるのではないでしょうか。そのため、「卒業後3年以内は新卒扱いだから、新卒向けの就職サイトを使えばいい」と考える人もいるかもしれません。
ただし、新卒向けの大手就職サイトには「○○2024」といった年号がついていることが多くあります。このような表記は、たいてい「2024年3月に卒業予定の学生向け」であることを示しており、すでに卒業している人は対象外となる場合がほとんどです。
つまり、新卒向けの就職サイトは、基本的に既卒者を対象としていないのです。
※上記はマイナビ2024の登録画面より引用しています。『学生以外の方の登録はご遠慮ください』と記載があります。
応募したい企業が「既卒を新卒採用として」受け入れているかどうかは、企業ごとに異なります。そのため既卒が新卒採用に応募する場合は、新卒向けのサービスではなく、社会人向けの就職サイトや転職エージェントを使い、各応募企業の既卒受け入れ状況について確認していく必要があります。
職歴なしでも大手に採用される?
既卒は、一般的に『学校を卒業して3年以内の正社員経験の無い人』を指します。
アルバイトなどは『実務経験』とみなされない事が多いですが、応募先企業に関係のある職種で働いていたり、うまく応募先に関連させてアピールできたりすると評価され、採用に繋がる事も多いです。
既卒の人は、企業にとって「すぐに働ける」という利点があり、社会人としての基本的なマナーもある程度身についていることが期待されます。また、まだ若く将来性があると判断されることもあるため、新卒よりも既卒を優先して採用する企業もあります。

ただし大手企業の場合は、既卒者が採用されるのは難しい傾向があります。多くの大企業では、新卒を一括で採用し、その後の人材補充は経験者や第二新卒を中心に行うのが一般的だからです。
もちろん、実務経験がない既卒者でも採用されることはあります。しかし、そのためには「既卒であった期間にどのような成長や努力をしてきたか」をしっかり伝え、採用担当者に「この人は新卒よりも魅力がある」と思わせることが重要です。
もしその説明が不十分だと、「ただ何もせずに時間を過ごしていたのでは」と見なされ、不採用になるケースも少なくありません。
どんな人が採用される?
では一体、既卒だとどんな人が大手に採用されるのでしょうか?
既卒期間の理由がポジティブ
上述した通り、既卒期間に『新卒で応募するよりメリットがある』と感じられるような経験をしていると評価されやすいです。
代表的な物は『留学』です。他にも、何かのプロを目指していた等、既卒期間に打ち込んでいた事があると『この会社でも頑張ってくれそうだな』と熱意やポテンシャルを評価してもらえる場合があります。

応募先で使えるスキルや経験を習得している
どれほどスキルや経験を積んでいても、応募先の企業がその能力を必要としていなければ、高評価につながりません。
だからこそ、「その企業がどんな人材を求めているのか」をしっかりと調べ、そのニーズに合ったスキルや経験を既卒の期間中に身に付けたとアピールできれば、採用される可能性が高まります。
たとえば留学をした場合、「英語力を生かして海外とのやりとりができる人材を求めている企業」なら、現地での生活や会話を通じて実践的な英語力を身に付けたことを伝えると効果的です。
高学歴
実際のところ、学歴を重視する企業は少なくありません。特に大手企業では学歴重視の傾向が強く見られます。
たとえ募集要項に『学歴不問』と書かれていても、実際の採用実績を見ると国公立大学の出身者ばかりという企業も多く存在します。
「ポテンシャル採用」とうたっている場合でも、実際には出身大学を重視し、人物評価の大きな材料としている企業も多いのが現実です。

既卒期間が短い
既卒期間が長いと、それだけ『新卒で就職するよりメリットがある事をしていた』と採用担当者に思わせなければなりません。
そして既卒の期間が長ければ長いほど、求められるハードルが高くなります。
未経験の人材を採用する『ポテンシャル採用』は『若さ』が強みになります。
その為、既卒の期間が長いとそれだけ不利になってしまうのです。
大手企業から内定を得るには
大手企業から内定を得る方法
既卒が大手企業から内定を得るためには、以下の方法がおすすめです。
- 既卒に特化した就職サイト・転職エージェントを使う
- アルバイトや派遣などで経験を積む
- 紹介予定派遣を使う
既卒に特化した就職サイト・転職エージェントを使う
大手企業から内定をもらうには、大手就職サイト・転職エージェントに登録して応募するケースが多いです。
ただし大手就職サイト・転職エージェントは正社員経験のある第二新卒向けに作られている場合が多く、サイトの検索条件に「第二新卒」はあっても「既卒」がない場合もあります。
そのため、既卒で大手企業を目指す場合は、既卒に特化したサービスや、大手企業への内定実績が多い就職支援サービスを活用することが現実的です。応募する際は、応募先の企業がどんな人材を求めているのかを把握したうえで、企業分析・自己分析をしっかり行い、自分の強みとマッチする点を効果的にアピールすることも求められます。

一方で、「大手=安定」というイメージだけで就職を決めてしまい、実際に働いてみるとミスマッチですぐに退職してしまう人もいます。学生時代であれば、インターンシップに参加して企業との相性を確かめることもできますが、既卒の場合はそうした機会が限られています。
もし実際に働いてみて企業との相性を見極めたい場合は、「ココシロインターン」というサービスも選択肢の一つです。
ココシロインターンは、長期・有給インターンに特化した求人サイトで、大手企業の内定実績も豊富です。既卒でも参加可能な募集があり、企業研究やエントリーシート作成を支援する無料ツールも利用できるため、「自分に合う企業がわからない」という人は、参考にしてみてください。
参考:企業分析AI – 就活生のための企業研究支援ツール
参考:SmartES(スマートES)|ESの文章化、AIが補完
アルバイトや派遣などで経験を積む
目指している業界や就きたい職種があるのであれば、その関係の仕事ができるアルバイトや派遣などで働いて経験を積む事で、熱意と共に経験をアピールする事ができるようになります。
ただし、アルバイトは実務経験とみなさない企業も多いので、何年もその状態で働く事はお勧めしません。
先ほど記載した通り、既卒の期間が長引くほど転職のハードルが高くなってしまうからです。

紹介予定派遣を使う
紹介予定派遣とは、一定の派遣期間を派遣社員として働いた後、双方の合意を得て正社員(又は直接雇用)となる制度の事です。
これを採用している企業の中には大手企業も多く、一定期間働いてから正社員になるかどうか決められるので、ミスマッチも少ない事がメリットです。
ただし、派遣期間終了後に『双方の合意』があって初めて先方と直接雇用の関係になるので、その部分を不安視する方も多いです。
『大手=ホワイト企業』ではない
よく就活中の方に『なぜ大手企業に就職したいの?』と聞くと、大抵『ホワイトだから』『安定しているから』と返ってきます。
ですが、大手企業=ホワイト企業ではありません。
確かに大手企業は中小企業に比べ、福利厚生が充実していて給与水準が高いところも多いです。
ですがそれはあくまで割合の話であって、聞いたことのない名前の中小企業の方が実は待遇が良いという事もあります。

また、大手企業に定義が無いように、実はホワイト企業にも定義がありません。
人によっては『給与が高い』事がホワイト企業の定義になる事もあれば、『休みが多い』又は『福利厚生が充実している』『研修制度がしっかりしている』など、人によってホワイト企業の考え方が違うのです。
例えば、『研修制度がしっかりしている』からホワイト企業だと自分が思っていても、他の人にとっては『煩わしい研修ばかりでブラックだ』となる場合もあります。
求人を探す際に『ホワイト企業』と検索しても、それが貴方にとってのホワイト企業でない可能性があります。
大切なのは、自分が何をホワイト企業と考えているか、つまり『自分がどういう働き方をしたいのか』を明確にする事です。
最後に
既卒採用で大手企業の内定を得る方法|採用される人の特徴や条件と題して書いてきましたが、いかがでしたか?
既卒で大手企業の内定を得る事は可能ですが、新卒や正社員経験のある第二新卒と比べるとどうしても厳しくなってしまいます。
ただ、私がこれまでに『大手に就職したい』と聞いた就活生のほとんどが自己分析を進めていくうちに『私は大手企業に就職したかった訳ではなく、○○がしたかったんだ』と考えが変わっていく事が多かったです。
大手企業に就職したいという考えを否定するつもりは全くありません。
ですが、就職活動をするのであれば大手就職サイト・大手転職エージェントのみを使っていると就職活動がスムーズに進まない可能性があります。
ですので、大手就職サイトに加えて、ぜひ【既卒生の就活に特化】した就職サイトや転職エージェントを活用される事をお勧めします。
既卒に有利な既卒向け就職サイトや転職エージェントについては、下記の記事も参考にしてくださいね!

既卒向けのサイトでは、大手企業よりも魅力的な求人が見つかる事もあります。
皆それぞれ大手企業(ホワイト企業)に求めるものは違います。ですので、自分により「フィット」した就職サイトや転職エージェントを使う事が大切です。