職業:大学のキャリアセンターで新卒〜既卒・第二新卒の就職支援を担当(現役)
資格:キャリアコンサルタント(国家資格)の他、CDA(キャリアデペロップメントアドバイザー)、進路アドバイザー、メンタルヘルスマネジメントⅡ・Ⅲ種など、キャリアと心理に係る多くの資格を取得。
備考:大学卒業後、新卒で銀行に就職したものの1年で退職し、その後5年間で5回の転職(派遣・アルバイト・正社員含む)を経験。この経験から職業選択の重要性を痛感し、キャリアと心理に関する複数の資格を取得。大学のキャリアセンターに転職しこれまでに多くの求職者サポートに携わる。
この記事では、実際に失業保険を期間満了まで受給しながら就職活動を行い、現在は就職支援の仕事に携わる筆者が
失業保険を満額受給後に無職だとどうなるのか、また、給付を延長できるケースを、自身の経験を元にわかりやすく解説します。
失業保険を満額受給後に無職でもペナルティは受けない
失業手当は、離職から1年を限度として、年齢や被保険者期間から算出された給付日数分を受け取る事ができます。
ー引用①:ハローワーク 基本手当の所定給付日数
所定の給付日数が経過(給付期間満了)したとしても、就職が決まらなかった事に対するペナルティはありません。
ただし、転職市場では仕事の空白期間が長いほど市場価値が低くなると言われています。
ハローワークや国の給付といった視点ではペナルティは無いとしても、転職する際のマイナス要因になる可能性がある事には留意して下さい。
失業手当を受給するには、4週間に1回の認定日で「求職活動実績」を提出する必要がありますが
この認定日の求職活動実績がクリアできていれば、特に指摘を受ける事はないでしょう・
というのも、この求職活動実績は「就職活動をしている」という意欲を証明するものであり
ハローワークは失業手当の給付に際しては「実際に就職したか」というより「就職意欲があるかどうか」を重視しているからです。
転職に係る期間は平均3ヶ月〜半年と言われていますが、それ以上かかる人も多く、様々な理由から受給期間満了後も就職先が決まらない人はいます。
ですので、失業手当を受給満了後も仕事が決まっていなかった場合でも、ハローワークから非難されたりペナリティを受ける事は無いので安心して下さい。
ただし失業手当の給付が無いと、心理面の不安は大きくなりました。
ですので、できるだけ早めに就職先が見つかるのが一番だと思います。
満額受給後にハローワークで行う手続きは無い
失業手当を満額受給後に、求職者側で何かする必要はありません。
認定日の最終日にハローワークへ行き、これまでと同じように認定を行い、最終の振込について確認する程度です。
筆者のケース
筆者の場合、最終回のハローワークの方とのやりとりはこんな感じでした。
<ハローワークとの会話>
失業保険の受給期間延長は原則行われない
失業保険を満額受給後も無職の状態が続く場合、受給期間を延長したいと考える人もいるでしょう。
ただし、受給期間を延長するには十分な理由が必要で、簡単に延長できるものではありません。
失業保険を受給後も無職期間が続く場合、受給期間をどのように延長できるか、具体的に解説していきます。
例外的に給付延長されるケース
失業手当を受給できる期間(給付日数)は、雇用保険の加入期間や年齢によって決められています。
ただし、特定の状況においては受給期間延長の対象となり得ます。
①個別延長給付
難病患者や発達障害者、または災害が原因で離職した場合など、再就職が特に必要と公共職業安定所長が認定した受給資格者には、所定給付日数を超えて失業手当が支給されます。
延長期間:60日間(最大120日)
※令和2年6月以降は、新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための臨時特例法(令和2年法律第54号)に基づく特例延長給付も含まれます。
②訓練延長給付
公共職業安定所長の指示した公共職業訓練(いわゆる職業訓練)等を受ける受給資格者に対し、訓練期間(受講待期している期間含む)内であれば所定給付日数を超えて給付金を延長して受ける事ができます。
訓練期間は受講する講座により様々ですが、3ヶ月〜最長2年の講座があります。
延長期間:職業訓練の受講期間(3ヶ月〜最大2年)
③広域延長給付
失業者が多数発生した地域(例:震災被害が大きく失業者が多数発生した地域など)で、特に職業紹介の必要があると認められた場合に受けられる制度です。
延長期間:90日間(最大120日)
④全国延長給付
失業者が全国的に増え、政令が定める基準(※)まで求職状況が悪化した場合、失業保険を受けるすべての方が対象となります
- 連続する4月間について基本受給率がそれぞれ4%を超えることかつ初回受給率が低下する傾向にない状況
- これらの状態が継続すると認められた場合
延長期間:最大90日間
⑤地域延長給付
倒産や解雇、労働契約が更新されなかった等の原因による離職者で、かつ就職が難しい地域に住んでいる方が対象となる制度です。
延長期間:最大60日間
※これらの延長対象になるかどうかは各自の状況によりますので、自身が該当するかどうかを確認するには、所轄のハローワークにお問い合わせください。
受給総額が一番多くなるケース
失業手当の受給総額だけを考えるのであれば、給付日数が一定期間以上残っている間に公共職業訓練を受ける事がおすすめです。
(というか、他の延長制度は実際には自分で選ぶことができないため、現実的にはこの方法が唯一の選択肢かと思います)
職業訓練期間は3ヶ月から、最長で2年ほどの物もあります。
その為、職業訓練期間の長いものを選べば、給付延長の中では受給総額が一番多くなるとも言えます。
ただし、転職市場での市場価値を考えた時に空白期間が長い事はマイナス要因になる事が多く、大きな視点で見た時に一番良いのは「早めに次の就職先を見つける」という事に尽きます。
給付日数が一定期間以上残っている間に職業訓練を受ける
失業手当は、所定の給付日数が終了した後でも、職業訓練修了まで引き続き受給することができます。
ただし、訓練開始までに給付日数が一定期間残っている必要があります。(詳しくは下図参照)
<失業手当:職業訓練に必要な給付残日数>
所定給付日数 | 必要な支給残日数(訓練開始日現在) | |
給付制限あり | 給付制限なし | |
90日 | 31日 | 1日以上 |
120日 | 41日 | 1日以上 |
150日 | 51日 | 31日以上 |
180日 | 61日 | 61日以上 |
210日 | 71日 | 71日以上 |
240日 | 91日 | 91日以上 |
270日 | 121日 | 121日以上 |
300日 | 151日 | 151日以上 |
330日 | 181日 | 181日以上 |
360日 | 211日 | 211日以上 |
ー引用②厚生労働省 北海道ハローワーク
支給残日数が足りなかった場合でも公共職業訓練を受講する事はできますが、給付延長の対象とはならないので注意しましょう。
まとめ
失業保険を満額受給後も引き続き無職が続く場合はどうなるのか、また給付延長できるケースについて筆者の経験をもとに解説してきましたが
これまでの内容をまとめるとこのようになります。
- 失業保険を満額受給後も無職の場合、失業手当の支給は無くなるが、特にハローワークからペナルティを受ける事は無い(もちろん怒られない)
- 失業保険を満額受給後で無職だった場合、求職者側が特に何かする必要は無い。
- 失業保険の受給延長は条件を満たすと可能になる。ただし、職業訓練を受ける以外で対象となるケースは少ない。
また、失業手当を受給するためには、4週間ごとの認定日に「求職活動実績」を提出する必要があります。
筆者は失業手当を受ける際に、ハローワークでの窓口相談や対面イベントへの参加など、さまざまな求職活動を経験しましたが
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ー引用①ハローワークインターネットサービス
www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_benefitdays.html
ー引用②厚生労働省 北海道ハローワーク
jsite.mhlw.go.jp/hokkaido-hellowork/list/sapporo/kyusyokusya/hokenzyukyu/ippan/6-3.html
ー給付延長の種類について
www.mhlw.go.jp/toukei/dl/yougo.pdf